官能迷宮
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#32 [来春]
三郎はふたたび、いつもの自分自身に返った。
まるでその年老いた黒人から、不思議な流れが三郎のからだの中に流れこんできたかのようだった。
:11/04/03 17:50 :SH07B :☆☆☆
#33 [来春]
黒人はにっと笑うと、
「おや、どうやら友だちがきたようだ。 風に吹かれて、どこぞのエロガキが入ってきたぜ」
:11/04/03 17:52 :SH07B :☆☆☆
#34 [来春]
三郎はその毒舌にはビックリしたが、なにより日本語をはっきりと喋ったことに驚いた。
それに、なぜかその黒人が発する毒舌は嫌味がなく、リズムのある詞を聞くような感覚がした。
:11/04/03 17:54 :SH07B :☆☆☆
#35 [来春]
そして、黒人が大きな箒の柄を握っているのに三郎は気がついた。
「調子はどうだい、え?」
その黒人は片手を腰にあてて背を伸ばした。
「悪いほうかい、それとも、よくなってきたかい?」
:11/04/03 17:56 :SH07B :☆☆☆
#36 [来春]
「え、あの、よくなってきました」
と、三郎は答えた。
「だったら、ここへきてよかったわけだな。 名前はなんてんだい?」
「あ、田中、田中三郎といいます」
:11/04/03 18:00 :SH07B :☆☆☆
#37 [来春]
それから三郎は久しぶりに他人とまともな[会話]をした。
黒人の名前は、ホーティで昔はあちこちを旅する放浪のミュージシャンだったそうだ。
どおりで彼の喋る言葉はリズムがあって、悪口もビ―トの効いたフレーズに聞こえてしまうわけだなと納得した。
:11/04/03 18:05 :SH07B :☆☆☆
#38 [来春]
抱えているのはギターではなくて箒だけれども、ホーティはやっぱりミュージシャンだった。
たちまち三郎は、ジャズが好きだった父なら、きっとホーティを気に入ったにちがいない、と思った。
:11/04/03 18:06 :SH07B :☆☆☆
#39 [来春]
それから3、4日、三郎は廃墟のラブホテルに通い、彼とたくさん話した。
ここに来てからの最初の日々は、救いのないみじめな毎日だったが、新しく知り合った友だちがそこから三郎を救いだしてくれたのだ、という気がした。
:11/04/03 18:09 :SH07B :☆☆☆
#40 [来春]
なぜなら、ホーティはたしかに[友だち]だったからだ
―ふしぎにそのことにははっきり確信があった。
:11/04/03 18:11 :SH07B :☆☆☆
#41 [来春]
ある日、三郎が童貞と知ったからなのかホーティがプレゼントしたいものがあるとあるものをくれた。
「…これ何?」
:11/04/03 18:14 :SH07B :☆☆☆
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