明日会えるといいな

私、佐原美也子。
２０歳で大学生２年生。

今日は１９時から中学の同窓会です。

友達の優未の話に寄れば、成人記念の大掛かりなものらしいから、全クラスが集まるみたい。

授業が終わってから一端家に帰り、買ったばかりのワンピースに着替えた。

このワンピースは昨日大学の帰りに原宿で買った。

黒地に花柄で、私がいつも着る服よりはちょっと大人っぽい感じだ。

あの人も来るかな…

髪を軽くアイロンで巻きながら考えた。

あの人。

というのは芝田尚。

私が中学時代好きだった人。

ちなみにそれは初恋でもある。

芝田と私は友達で放課後よくふざけ合ったり、

学習塾が一緒だったからクラスは違ったけどよく話した。

まぁ結局、私の片思いのまま卒業して別々の高校に行ったんだけど。

芝田はサッカー部で長身で成績優秀だった。

学習塾の中ではよくトップ３に入って表彰されていた。

そんなんだから、高校受験もみんなが受験しないような付属の大学がある難関校を狙って、難なく合格。

私なんてうちの中学から12人も受けるような超平均レベルの地元の高校だし。

笑いのツボは一緒なのに頭の方はここまで違うとは。

しかも芝田は顔もいいから、まぁモテるモテる。

中学時代はいろんな女子から告白されていた。

けれど当時の芝田は恋愛に興味がなかったらしく、繊細な乙女心をことごとく傷つけていた。

彼を落とすのは相当難しいとの噂だった。

ちなみに！この私だって、告ったことくらいある！

中２のバレンタイン、ホントはあげるつもりなんてなかったけど、

優未に

「何でもいいから買え！渡せ！渡すことに意味がある！」

と言われ、２月１３日の夜コンビニに連れていかれた。

そして６００円のチョコを買った。

翌日の昼休み、芝田に

「食べてね！」

と言ってチョコを渡した。

というより押しつける感じ？

それ以上、付き合ってとか好きとか言えなかった。

もうとにかく心臓がバクバクですから。

なんせ初恋ですよ？

渡し逃げを華麗にやってのけた。

そして、私がそこで重大なミスをしたことに気付くのは１ヶ月後のホワイトデーだった。

芝田は家まで来てくれて、チョコのお返しをくれた。

「うまかったからっ」

ちょっと照れながらコンビニチョコを褒めただけ。

それだけ。

そう。私は１ヶ月前、芝田とどうなりたいとか、どういう関係になりたいとか、何も言わないでチョコを渡した。

そして恋愛に興味ない芝田。

バレンタインがただのお菓子交換になるのも納得。

反省……

まぁ芝田が恋愛に疎いのは私のせいじゃないし、仕方ない。

芝田と友達なだけまだいいじゃないか！

そうやっては完全に余裕をかましていたんだ。

中３で芝田に彼女ができるとは全く予想せずに。