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#1 [◆.SHkfO2o/M] 11/04/10 19:49
暇潰し程度に
#2 [◆.SHkfO2o/M]
人を殺めた。
それは、珍しい事じゃ無い。今まで生きてきた中で、俺の腰にぶら下げてある刀を血で染め上げた事なんて数え切れない程ある。
でも、今回は違う。
「お願い殺して」
なんて台詞を吐かれたのは、初めてで、自分に敵意を持っていない相手に刀を抜いたのも初めてで、死にゆく命を前に涙を流したのも初めてだ。
妖怪や鬼などと呼ばれる化け物を殺めた事は幾度もある。それは、必要だったから。人間が暮らしていくのに必要だったから。
必要の無い生命を殺して、必要な生命が、世界は平和だと笑う。
俺は、そんな世界が、死ぬほど大嫌いだった。
:11/04/10 20:09 :N06B :ty3JwmeI
#3 [◆.SHkfO2o/M]
そこは大陸の遥か南に大国を構えるβ。有能な王に恵まれ、比較的豊かな国だ。
俺は東の方で暮らしていたが、鬼の討伐を依頼されて、鬼を見事に討伐した。
すると、今度は鬼にも勝る力を恐れられて東から追い出されてしまったので、遥々南の地に足を運んだのであった。
なんとも笑えない話だ。
「旅の者か。何の用だ」
城の門番をしている髭を生やした中年の兵士が厳しい顔付きで質問してきた。
「なぁ、おっさん、なるべく上の階級の人を呼んで貰えるか? 傭兵として雇って欲しいんだよ」
「ふむ……しばし待たれよ」
そう告げて門番は奧へと歩いていった。
俺は立ち尽くす。ひたすら、ひたすら、立ち尽くす。
「って、遅ぇぇぇぇぇぇ」
叫んでみるが、返事は無い。
「ったく、いつまで待たせる気なのかね」
などと不貞腐れながら待ってると門番が戻ってきた。
「兵士長が直々に会うそうだ。着いてこい」
それなりに長い時間待たされた事について、小一時間ほど文句を責め立てたかったが、とてつもなく不毛な事に思えて、大人しく着いて行く事にした。
:11/04/11 21:11 :N06B :o0I5Y7ps
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