ひだまり

愛｢ふぁー…くだらない。学校行かなきゃ｣

自分にそう言い聞かせて制服に着替えてリビングに向かうとエプロン姿のお兄ちゃんがいた。

啓｢おはよ!目玉焼きとオムレツどっちがいいー?｣
卵片手に聞いてくる姿は身内の贔屓目をのけてもかわいい…と思う(笑)

｢…オムレツで!｣

肩まであるサラサラした蜂蜜色の髪は一つに結び、華奢な体にエプロン。

私が男でお兄ちゃんが女だったら絶対間違い起こしてると思う(笑)
当の本人はオムレツ作りながら変な歌歌ってるけど、本当に出来た人なんだなって思うんだ。

顔もそうだけど全体的にね!(笑)
本人には絶対言ってやんないけど。

ｶﾀｯ
啓｢おっまたせ♪出来たよ!｣
テーブルを見渡すとバランスの取れた食事が並べられていた。
愛｢お兄ちゃんのご飯はいつ食べてもおいしい。…ありがとう｣

いつも言わない素直な言葉を口に出してしまいハッてすると感動で顔を歪まずお兄ちゃんがいた。

しまったーーーーーーー!

啓｢愛奈!!お前がそんな風に言ってくれる日が来るなんてお兄ちゃん嬉しいぞ!泣｣

そう、お兄ちゃんは凄くシスコン。従兄同士でシスコンっていうのかは微妙だけど。

兄であり父のような存在でありたいらしい(笑)

肩書きなんてどうでもいいくらい大切な存在なのにね。

愛｢…感動しすぎ!私だってたまには素直に言うわよ!そんなに暑苦しいんじゃ加奈子さんに嫌われちゃうんだから!｣

嬉しいけど恥ずかしい私はついつい憎まれ口を叩いてしまう。

わーわーいってる間に家を出る時間に。

啓｢やっば～遅刻しちゃうって!ごめん!先出るわ!｣

そう言って慌てて家を出ていった。

愛｢…あ、エプロン忘れてるじゃん。馬鹿…今なら間に合うか。｣

自転車の鍵を持ってお兄ちゃんを追いかけた。
必死に漕いでるとすぐ先にまだお兄ちゃんはいた。

でも隣にいるのは…?

私は橘愛奈(まな)１７歳になりました。１２歳の時に両親を亡くして１４歳まではおばあちゃんと暮らしてたの。
だけどおばあちゃんも病気でなくなってからは従姉の葛城啓(けい)が面倒を見てくれてる。一緒に暮らし始めて３年。お兄ちゃんは２７歳。来年の秋に結婚するみたい。

相手はお兄ちゃんの職場の人で加奈子さんって言うんだって。
お兄ちゃんのお仕事は小さなレストラン。そこのオーナーさんらしい。

昨日、結婚の報告をしにきた時に会ったけどすごく綺麗な人。ま、性格はキツそうだけど(笑)

口ではおめでとうなんて言ったけど本音としては全然めでたくなんかないし。

居場所を取られた気がする。しかも加奈子さんのあのしたり顔!
あああ!思い出しただけでイライラする!

どーせ新婚さんにはあたしなんか邪魔者でしかないのは分かってるけどさ!

やっぱムカつく!

…ま、どっちみちこの日が来たらあたしは出ていくこと決めてたんだししょうがない。

そう、あたしは今日家出をする。

正直一人暮らししたいけど普通の高校生が何の助けもなしにいきなり出来る訳がない。とりあえず知り合いの家を渡り歩きながらお金を貯めるしかない。

家出する理由は一つ。

｢邪魔になりたくない。｣

お兄ちゃん自身はシスコンすぎるくらいだし心配するだろうけどこれから家族を支える身としてあたしを可愛がるのは卒業してもらわなきゃ。

これがあたしなりの感謝の気持ち。

あたしのせいで夫婦団らんを壊す訳にはいかないしね。

>>11-15
機種は同じですが、本当に主さんが書いたんでしょうか？
主人公と従兄のお兄さんの名前と従兄のお兄さんと婚約者の職業が最初と変わってますし、何より前に書いたのと話が繋がりません。