Take Me Out

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無くしてはじめて
その大切さに気づく
ってゆうけどさ。

あたしには関係ないよ。

だって最初から無くす
もんなんかないもん。

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そんな汚い気持ちにまた涙が出てくる。

どうしたらスッキリ笑って大丈夫になるんだろ。

誰か教えて欲しい。

そしたらきっと楽になるのになぁ。

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｢っ…今日は飲むぞー!!｣

泣きながらジョッキ片手にわあわあゆうあたしは相当不細工で、悠治はふっとまた笑って今日は付き合うよっていってくれた。

コツンと当たったジョッキ同士が妙に響いた。

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泣くことはストレス発散になるって昔誰かが言ってたけど本当かも。

なんとなくスッキリ。

何か解決したわけじゃないけど、悠治の前で素直に泣けたことにほっとした。

少しだけ軽くなったような

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泣いた分なくなった水分を取り戻す…黄色の水分で。

いつのまにか普通に笑って普通に会話してた。

いつのまにかテンションが上がって沢山笑ってた。

生２つーと叫んだかわりに返ってきたのは

｢すみません、もう閉店のお時間でして…｣

と申し訳なさげな店員さんの声だった。

｢え？わ！そんな時間？！｣

｢じゃあ会計お願いします｣

慌ただしいあたしに比べて悠治は至って冷静だった。

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｢ありがとうございました｣

背中で店員一同の感謝を受け、歩き慣れた界隈を歩く。

｢もう一件行く？それともカラオケ行くー？｣

酔いに任して、さっきまで泣いたことは無しにした。

｢んー。｣

対して上の空の悠治は何なんでしょうか。

｢ねー、どーすんの？！｣
｢あっ誰か誘う？｣

間一髪いれずにお喋りしてるのに悠治は気のない返事ばっかし。

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むっとして思わず黙る。

急になんだよ、その態度。
あたしは楽しかったけど悠治は楽しくなかったのかな

そう思ったらイライラよりしゅんと心が萎えた。

｢…き…おい、夏樹？｣

はっと前を向くとだいぶ先に悠治がいる。

｢ほら。いくぞ？｣

そう言って左手を差し出す君にあたしは躊躇せず走った。

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ぎゅっと繋がれた部分が温かい。

そっと彼の顔を盗み見見るとなにか考えごとしてる顔に見えた。

それを見てさっきみたいにイライラしないのはずっと近くにいるから。

繋がれた手に目を落とすと同時に頬が緩んだ。

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ただ黙って歩いて行くとたどり着いたのは仲良しの先輩の家。

不思議な顔をすると悠治は笑って｢山下さんは麻雀でまだ帰れないってさ｣と慣れた手つきで鍵の隠し場所から鍵を出しドアを開ける。

やっぱり誰か誘ってたんだなぁ。

二人きりになれないのは少し寂しいけどあたしは今日で十分幸せだった。

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