evryday Thank Ｕ

｢おい、今日何の日か知ってる？｣

電話の主は立石結城くん。
ただのお友達。

｢知りません。｣

きっぱり言うのは私、
佐藤麻紀。

立石は車を走らせて
タバコを吸う。

若干真剣な顔が
少しカッコ良く見えた。笑

「なに？俺がカッコ良くて
見惚れてた？」

前言撤回。

「あんたさ、麻紀狙いなんじゃないの？」

everyだよ｡主中学生かな

エピソードも間違えてるよ｡正しくはepisode

「なんで？」

「いや、あの時麻紀に縋ってたから。」

「俺嘘は嫌いなんだよね。」

「はい？」

彼はタバコをふかしながら
ふっと笑う。

「そのうち分かるよ。
さ、着きましたよ、お嬢様。」

車は目的地に着いたようだ。
小さいけどオシャレなバー。

「どうぞお手を。」

彼は手を差し出して
ニッコリ笑う。

待て待て、相手は立石だぞ。
本気になったら負けだ。

「ふんっ、何様だし。笑」

けどなんか、こいつの優しさって
心地よいや。

その日私は呑み続けた。
バーの雰囲気のせいかな？

タバコを吸う立石
酒を飲む立石

カッコ良く見えた。

「お前飲み過ぎ。笑」

彼はふふっと笑って
つづけた。

「なあ、希って彼氏いないんだよな？」

「うん。」

「なんで？」

1番聞かれたくない。
みじめになるから。

普段の私なら
面倒だから、って答える.

けど酒も入ってるからかな。

「私は麻紀の引き立て役だから。」

本音が出ちゃったんだ。

なに言ってんだ私。
惨めな気持ちが
益々押し寄せてくる。

すると、下を俯く私の手が
暖かくなった。

見ると立石が私の手を握っていた。
そして彼は言った。

「俺な、駅でお前等見た時
正直、麻紀に見惚れてたんだ。」

ほら、やっぱりね。

「けどな、、」

これ以上惨めな思いさせないで。

「信じてもらえないと思うけど
今は確実にお前を見てるよ。」

「え、、、？」

立石の方を向くと
私の方を真剣に見つめていた。

「お前さ、男なんて遊びでいいって
表では言ってるだろ。」

「何でわかるのよ。」

「見てりゃ分かるよ。
けど心の奥では、
本気で自分を見て
欲しいんじゃないのか？」

なにも言えなかった。
全て当たっているから。

ねえ、立石。
そんなに真剣に私を見てくれると
私、あんたに惚れちゃうよ。笑

「まあ、まだ知り合ったばっかだしな。
ゆっくり互いを知ろうぜ。」

これ以上彼はなにも言わなかった。

その後家まで送ってもらった。
帰りぎわ、立石は

「おまえは引き立て役
なんかじゃないよ。」

と頭を撫でて帰って行った。