想うのは、青とキミ

注文してから二十分ほどで二人の料理が揃った

私は大好きなパスタ、彼はオムライスで…"あの日"と同じ、だね

――――…

彼と知り合ったのは、私がまだ遊びたい盛りの高二の頃

暑い暑い、夏のこと
当時私には彼氏がいた
私の一番の親友のマホの好きな人が彼、ユウくんだった

「ねえリコ!来週の土曜さあ、ユウくんと三人で遊ばない？」

あの時は夏休み、暇を持て余していたし親友のマホとは、いつも一緒にいたしそう誘われて彼氏がいるにも関わらず「いいよ～」と一言返事で軽く言ったのがきっかけ

マホからユウくんのことは、よく聞かされていた

身長が高いこと、普段は無口で、たまに見せる笑顔が凄くカワイイこと、ルックスのことばかりだったが、マホの好きな人…

どんな人か興味があったし、私にも彼氏がいるし、いつか４人で仲良くダブルデートだって出来るかな、なんて考えていた

そして"その日"

私と彼は出会って、しまった
「ユウくん、って…中沢先輩じゃん!」
彼を見た私の第一声

「なあに、知ってんの？リコ」首を傾げてマホが私に聞く

だって彼は私の２つ年上の、同じ中学校の先輩だったから

しかも私の嫌いな先輩の元彼…複雑な心境だったのを覚えている

「知ってるって言うか…」
私がまごまごしていると、冷たく彼が「誰？」と口を開いた

「この子が、上村リコ！可愛いっしょ！いつも一緒にいんの！」

マホがにこにこと彼に私のことを紹介してくれている
「ふうん」愛想のない返事をして、彼はじーっと私を見ていた

いくら中学校が同じと言っても、中沢先輩は二つも年下の私を知っているはずがない

嫌いな先輩、と言うのは派手で目立つギャルの女で一度「ブサイク」と言われた事がある女の人

あんな女と付き合ってたくらいだから、彼は相当頭がオカシイんだと思う

"警戒"しかなかった

「どうも」私も愛想のない挨拶を返して、いつも以上にマホにくっついていたのを覚えてる