*‥-ほしの向こう-‥*
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#1 [空子] 11/08/01 01:10
僕の一生はみじかい。
しかし。
#2 [空子]
僕は、うっすらと目を開けた。本当は完璧に目を開けるはずなのだが、身体はまるで自分のものではないかのように重たかった。
いつぶりだろうか?だいぶ長い間、眠り込んでいたような気がする。そもそも、いつから寝ていた?
そしてここはどこだろう。
白い壁に白いカーテンに白いベッドに白い服に白い花瓶に白い花に白い扉に白い床に白い白い白い白白白白白白白。
:11/08/01 01:20
:SH906i
:4VdTu90.
#3 [空子]
世界から色のすべてが抜き取られたかのような部屋。
僕の目は醒めるところか、チカチカしてくる始末。
しかしひとつ、色のちがうものがあった。僕の髪だ。真っ黒で長くて――…。
あ れ … ?
僕の髪はロングヘアーだったろうか?まさか、長い間寝過ぎてしまっていたから?そんなばかな。
:11/08/01 01:28
:SH906i
:4VdTu90.
#4 [空子]
そうだ、もしかしたらその感覚さえも、寝ているうちに忘れてしまっていたのかもしれない。
僕の髪は長い。
確かにそうだった、はずだ。
長い長い、なにか夢を見ていたんだ、だから僕は、僕自身の感覚を忘れてしまったに違いない。
僕はベッドから降り、床に足をついた。白い床は、毛の短い絨毯だった。
:11/08/01 01:33
:SH906i
:4VdTu90.
#5 [空子]
それからまっ直ぐ僕は扉のほうに向かった。
ボタンを押すと開く、半自動ドアのそこを開くと、そこにはなんとも普通な一軒家の廊下である。
僕の立つ白い部屋にくらべるとはるかに普通で、それでいてその普通さが妙にシュールだった。白い部屋の異様さに慣れはじめていた僕だからこそだろう。
とにかく僕は洗面所にむかった。起きたら顔を洗う、それが僕の日課なのだ。
:11/08/01 01:39
:SH906i
:4VdTu90.
#6 [空子]
*
鏡の前にたつと、僕は妙な気持ちに襲われた。
――…目の前の人間は、だれだ。
そこには、当たり前だが僕が立っているだけだ。しかし僕は。
「僕は、こんなに…」
女の子だっただろうか?
…やはり、寝過ぎて忘れているだけなのだろうか。僕はいつから僕を忘れてしまったんだろう。
:11/08/01 23:36
:SH906i
:4VdTu90.
#7 [空子]
そんなにリアルな夢を見ていたのだろうか、僕が男の子で、どうのこうの…という夢を。
自分が自分であることを忘れるほどの夢を……?
「………――はぁ。」
しかし深く考えれば考えるほど頭にしこりが溜まっていき、余計にひどくなるだけであった。
僕はなぜか酷く不安になり、あの白い空間にもどることにきめた。
:11/08/03 00:00
:SH906i
:Afs/dC6s
#8 [空子]
*
部屋に戻ると、見慣れぬ人が居た。僕が目覚めた布団に腰掛けている。
「誰、ですか。」
ああ、さっきは気がつかなかったけれど、僕はどうやら僕の声まで忘れてしまっている。
僕の声なのに、素晴らしくかわいらしい声だ。…なんて、自分の声を褒め讃えるのはさすがに気持ち悪いが。
:11/08/03 00:09
:SH906i
:Afs/dC6s
#9 [空子]
そして僕の声に気づいたのか、目の前の人はこちらをちらりと見遣った。決して良くはない目付きで僕を睨むように見ている。
けれどそこまで恐怖を感じないのは、彼がまだ僕と同じくらいの十代半ば頃に見えるからだろう。
「オイ、忘れちゃった?わけねェよなぁ?」
僕がぼうっとしていると唐突に彼の声が響いた。
:11/08/06 10:03
:SH906i
:e4L0O.ek
#10 [空子]
「?」
忘れるも何も、僕はこんなに目付きの悪い男を友人にした覚えも、ましてや知り合いにした覚えすらない。
「まァいいや。忘れてんなら俺が思い出すから。」
「?」
意味が解らなかった。いや、あなたは思い出すも何も、僕を既に知っているのではないのか?とツッコミたくなる。
:11/08/06 10:09
:SH906i
:e4L0O.ek
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