見上げるは、青空。

今晩は、はるなです。初投稿ですが、亀更新ながら頑張ります(^^)

宜しければ、お付き合いください。

「あっつー…」

相変わらず、ここは変わらない。
何もかも。

「よ、っと」

砂利道にキャリーバックという、
サイアクの相性。

でもあたしは、

「ここに帰るしかないんだな…」

あまりここにも、

戻りたくはなかったのだけど。

バスは一日に何本あるんだっけ…

あたしは、昔の記憶を引っ張り出しながらひたすらに歩く。

まあ昔っていっても、たかだか三年前の話なんだけどね。

「あら、葵ちゃんじゃない？
真柴さん家の！」

「え、あぁ…」

「ほら、覚えてない？向かいの家の…」

「あぁ、藤田のおばちゃん！？」

田舎特有。

近所の皆さんは、顔見知り。

「ずいぶん久しぶりねー
東京に就職したんだったかしら？」

「あ、うん…」

「しばらく見ないうちに都会の子になっちゃってー、もう！
今日は里帰り？」

「うん、そんなとこかな…」

適当に世間話をして、適当な挨拶をかわす。

…やっぱりここは、
あたしの故郷に変わりない。

ーーー…でも、

…ううん、もう三年も前だ。

いつまでもこんなに、ずるずる引きずってるわけにはいかない。

今更だけど改めて。

あたし、真柴葵(ましばあおい)
都内で服飾系の仕事やってる、なんの変哲もないごく普通の21歳。

…ここ、あたしの生まれ育った土地に今は里帰りみたいなもんなんだけど…

ちょっと、まぁ深い話は置いといて。

このど田舎に帰省したんだから、少しリフレッシュしていこうと思ってさ。

ーーー…なんて、表向き。

ホントは、さ。

「ただいまー」

ガランとした家。

…鍵くらいしめなよ。
無用心にも程がある。

とりあえず適当に荷物を置いて、久しぶりの我が家にゴロンと寝転ぶ。

久しぶりに嗅ぐ、我が家の香り。
お線香の匂いと畳の青草の匂い。

目を閉じたらまるで、

昔に戻ったみたいで…

あたしは気がついたら、
深い眠りについていた。