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#1 [齋] 11/08/31 03:29
俺とお前しかいない静かな教室に乾いた音が響いた。それを言葉で表現するなら、パシンって感じに。
『高谷くんってやっぱりそんな人だったんだね』
いや、パシンなんてレベルではなかったかな。この痛みからして
『もう終わりにして』
一方的に俺を殴って一方的に別れを告げた彼女は、机に置いてあったスクールバッグを抱え小走りで教室を出ていった
#4 [齋]
この公立高校に入学してから早三年。それなりに勉強も遊びも恋愛もしてきたが、どうも続かないのが恋愛で。
最短二日最長一ヶ月半の記録の持ち主、高谷 龍。年齢十八歳それが俺
そしてお決まりのフレーズ"そんな人だったんだね"はかれこれ5度目になる
:11/08/31 03:48 :N04B :☆☆☆
#5 [齋]
葵は中学から可愛がっていた一つ下の後輩で、交際へのキッカケは向こうからの告白。しかし告白されるまで葵を恋愛対象として見ていなかった俺の返事はNO。
潔く引いてくれると思っていただけに、
『嫌だ』と駄々っ子みたいに半泣きになった葵に拍子抜けしたっけな
:11/08/31 04:01 :N04B :☆☆☆
#6 [齋]
一度は告白を断った俺が何故、交際を始めたかって?それは――
『女の涙に弱い男って本当損よねぇ』
‥‥‥何処からともなく現れたこの女の言う通りで。俺が女の涙に弱いのが原因さ
:11/09/09 00:22 :N04B :☆☆☆
#7 [齋]
その声に振り向くと廊下から顔だけ出して教室を覗きこんでいる澤井が居た
『いつから居たんだよお前』
『えーと。"終わりにして"から』
それを聞いて深いため息がでた
:11/09/09 02:04 :N04B :☆☆☆
#8 [齋]
『声くらい―‥『かけれる訳ないでしょ。幼馴染みがふられてる最中にさ』
不満そうな顔をしてズカズカ俺の前まで歩み寄る
(最後まで話を聞かない癖を治せないのかコイツは)
『ずっと正門で待ってたのに中々来ないからさ、様子見にきたら‥ねえ?』
:11/09/09 02:15 :N04B :☆☆☆
#9 [齋]
『待ってたって?』
俺が聞くと、更にワンランク上の不満顔を披露した澤井
(?)
『今日から龍ん家に泊まるって言ってたじゃん!だから一緒に帰る約束したのに何忘れてんの?』
『そうだったか?』
『ほらー、ママ達が結婚二十周年迎えたからって海外旅行行っちゃったじゃない?だから龍ママが泊まりに来なさいって!』
思い出した?と相変わらずワンランク上の不満顔。
:11/09/09 02:32 :N04B :☆☆☆
#10 [齋]
言われてみればそんな約束をしていたような、していなかったような
『帰るよ、早くシャワー浴びたい』
パンパンに膨れ上がった黄色いリュックには、きっと服やら何やら詰め込んであるんだろう
:11/09/17 03:07 :N04B :☆☆☆
#11 [齋]
先に廊下へと歩き出した澤井に続き、少し遅れて俺も歩き出した。
―――――――――‥
『んー、やっぱ龍ママのご飯は最高!』
大盛りに盛られたご飯を片手にそう言う澤井は女とは思えないほどの食べっぷり。
余談かも知れないが
コイツは俺の家で三合近くの飯を食い尽くした伝説の持ち主だ。
もちろん俺でもそこまでは食えない
:11/09/17 03:16 :N04B :☆☆☆
#12 [齋]
ずらりとテーブルに並んだ数々のおかずを目の前に、今朝の寂しい食卓を思い出した。
(確か白米に味噌汁に卵焼き‥)
息子のための食事は完全に手抜きなくせに、澤井になるといつもこれだ
『龍はこんなに美味しいご飯毎日食べれて幸せじゃん!』
『‥そうだな』
ふふふ、じゃねーぞ母さん。
:11/09/17 03:26 :N04B :☆☆☆
#13 [齋]
澤井を自分の娘のように可愛がってきた母さんは本当に澤井に甘い。
(実は俺より愛されてたりして)
だって現に食卓に並ぶ数々のおかずはどれも澤井の大好物で、俺の苦手なものばかりだし
:11/09/17 03:30 :N04B :☆☆☆
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