笑わないで聞いてください。
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#1 [本郷] 11/09/12 11:02
いつもへらへらしてるあなただから、私の気持ちだって曖昧にして逃げると思った。

「先輩、大好きです。」

そう口にしたら、きっと困ったように笑うんだろう。
私はそんなあなたを、更に愛おしいと感じるんだろう。

#2 [本郷]
橘川先輩に出会ったのは、大学で入ったスノーボードのサークルだった。

友達2人の紹介で、一緒に行った新歓で同じ席にいた、みんなにいじられる面白い先輩。

「橘川、あご出てるぞ」

「お前興奮するとすぐ出るんだから」

「うるせーよ!出てねぇから!」

橘川先輩の周りは、いつも笑い声で溢れている。

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⏰:11/09/12 11:03 📱:N08A3 🆔:7CoYf0bc


#3 [本郷]
割とノリのいい私は、結構すぐその席に馴染んだ。
でしゃばった発言もして、完全に調子にのっていた。

「橘川先輩、後ろから見たら芸能人の○○○に似てますよね。後ろから見たら。」

「うっわ、こいつ発言が1年じゃねえよ!助けて!」

「あはははは」

橘川先輩はよく立ち歩く。トイレに行ったり、他の席に行ったり。

そうして帰ってくるとコールされる。

「おかえりー!おかえりー!おかえりーおかえりー!!ハイハイ!」

席もどんどん変わっていって、一度隣になった。

「お前ほんとうざいわ」

そう笑って頭をこづかれた。

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⏰:11/09/12 11:03 📱:N08A3 🆔:7CoYf0bc


#4 [本郷]
サークルの先輩達は優しくて、私のことを面白いといって仲良くしてくれた。

特に仲良くなった1個上のアヤカ先輩には「広瀬のキャラ、まじで好き」とよく抱きしめられた。


アヤカ先輩は橘川先輩のことがお気に入りなんだと話してくれた。

「よく『橘川呑み』って言って、橘川んちでみんなで呑むんだよね」

「楽しそうですね。行きたいです」

「今度行こうよ!」

アヤカ先輩は3年生の松本先輩が好きだったらしい。
でも松本先輩は同じサークルの違う女の子と付き合っている。

「ショックだよねー。これ内緒で。」

「もちろん誰にも言いませんよ」

「で、今は橘川推しなの。広瀬もでしょ?」

曖昧に笑った私は、自分が橘川先輩のことをどう思っているのか気付かなかった。

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⏰:11/09/12 11:04 📱:N08A3 🆔:7CoYf0bc


#5 [本郷]
私はまだ、恋愛で泣いたことがない。
過去に付き合った人はいても、1ヵ月経たずに別れてしまっていた。
恋愛に貪欲になれない。面倒だとも思う。

きっとずっとこのままなんだろうな、と感じていた。

2次会の前に開かれる、一旦解散するための集まりは基本的にダラダラしていて集まりが遅い。

雨が降っていたその日は、みんな傘を持って外で待っていた。

一緒に来た友達2人と、アヤカ先輩と喋っているところに、橘川先輩も来た。

「お、橘川ー!」

「キモいの来た」

「うち橘川推しだから」

「意味わかんねぇから」

じゃれあうアヤカ先輩と橘川先輩を見て、胸がズキンと痛んだのは勘違いだと思うことにした。

アヤカ先輩の傘を弾き飛ばした橘川先輩に「いーけないんだーいーけないんだー」と言っているところで、最後の一本締めが始まり、2次会に向かった。

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⏰:11/09/12 11:05 📱:N08A3 🆔:7CoYf0bc


#6 [本郷]
2次会では、橘川先輩と違う席だった。

アヤカ先輩と松本先輩とは同じ席で、たくさん話した。

「ほんとこいつ発言が1年っぽくねえな。面白すぎる」

松本先輩は割とシャイな人で、お酒がないとあまり話さない人だ。
ただ、酔うとタチが悪い。なかなか面倒な人。


私は何度も、橘川先輩来ないかなー来たらいじれるのにーと思った。

この席から橘川先輩は見えなくて、いまどんなことをしてるのか想像が付かない。

橘川先輩は今ごろ他の人と楽しく笑っているんだろうな、と思うと無性に腹が立った。

あまり長居はしないつもりだったため、友達と3人で早めに帰ることにした。

まだこのサークルに入るかは決めていなかった私に、アヤカ先輩と松本先輩は「絶対に入れ」と言ってくれた。

帰りぎわに橘川先輩の席を見付けた。目が合った。

「お、広瀬かえんのか。」

「帰ります。先輩、あたしがいないと寂しいでしょ?」

「バーカ!もう来んな!帰れー!」

「じゃあ、今日はありがとうございました。お疲れ様です」

「お疲れー」

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⏰:11/09/12 11:06 📱:N08A3 🆔:7CoYf0bc


#7 [本郷]
帰りの電車で3人で話していて、いやなことを聞いてしまった。

「カナ、バカだなー。あたしかせっかく隣にしてあげようとしたのに」

「だって恥ずかしいじゃん…」

話を聞くとどうやらカナは橘川先輩のことが好きらしい。
ユキナは、カナと橘川先輩をくっつけようと考えている。

「先に言ってよ。あたしだって手伝ったのに」

私は嘘をついた。

「カナ、次は頑張ろうね」

「う、うん…」


私が好きになる人はいつも、彼女がいたり、私の友達を好きだったり、友達がその人を好きだったりする。

またこのパターンか、と諦める。友達と取り合いなんて嫌だし、面倒だ。

私は好きな人ができても、その人と近い人には言わない。冷やかされるだけだと思うからだ。

所詮私の恋なんてそういうレベルだ。
泣くほど辛い恋愛、とか、そんなの性に合わない。

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⏰:11/09/12 11:06 📱:N08A3 🆔:7CoYf0bc


#8 [○○&◆.x/9qDRof2]
↑(*゚∀゚*)↑

⏰:22/10/24 13:54 📱:Android 🆔:JMKv58vc


#9 [○○&◆.x/9qDRof2]
↑(*゚∀゚*

⏰:22/10/24 14:09 📱:Android 🆔:JMKv58vc


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