仔羊たちの微睡み
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#1 [サカナ] 11/10/21 01:22
短編をマイペースに。
思いつきで書き上げるので
なんとなーくな感じで
目を通してもらえたら嬉しいです
人によって捉え方が違って
物語もまた
その人によって
違うものに形を変えていく。
そんな作品が書けますように‥
_
#2 [サカナ]
― 落日 ―
(愛する人の、愛する人)
_
:11/10/21 01:25 :F05C :cO3GHvSY
#3 [サカナ]
「でもね、違うよ」
国松くんは教えてくれる。
「あの人は‥」
次に出てくる言葉をあれこれ想像してみた。「人の幸せは、壊しちゃいけない。」その後にくる言葉なんて、だいたいわかる。
:11/10/21 01:25 :F05C :cO3GHvSY
#4 [サカナ]
わかる。僕はわかってる。
国松くんが愛してる人を、国松くんがどれだけ愛してるかなんて、話を聞いてりゃわかる。
あの人の名前を出して目尻に何本かシワが刻まれて、そのすぐ後、ほぼ同時ってくらいに口元が緩む。
わかってるのに、国松くんはその次の言葉を僕にくれないんだ。いつもそう。
:11/10/21 01:26 :F05C :cO3GHvSY
#5 [サカナ]
「まぁ‥そうだねぇ」
笑ってごまかす。だけどその時の笑顔は少し、切なそう。
周りの空気がひんやりしてきて、やっと、太陽が今日ココでの仕事を終えたことを知る。
「‥愛してる?」
僕は決まって、そう聞くことにしてる。まだまだ僕は気付かないフリをして、君に甘えていたいから。
:11/10/21 01:27 :F05C :cO3GHvSY
#6 [サカナ]
「‥そうだね、愛してる。」
国松くんはまっすぐ、遠くを見たままそう言う。曖昧なままが心地いい。
僕の目を見て、そんなこと、言ってくれたことがないのに‥僕はそれで満たされちゃう。
「よかった。」
声色は変えない。こっちを見てなくたって、声色で国松くんは何でも見抜いてしまうからね。
:11/10/21 01:28 :F05C :cO3GHvSY
#7 [サカナ]
“僕もだよ”なんて絶対に言わない。‥言えない。僕の解釈が生ぬるいことがバレてしまう。
自分の都合のいいように、現実から目を背けてる。それが余計に自分の傷を深くしてるのも、事実。
:11/10/21 01:28 :F05C :cO3GHvSY
#8 [サカナ]
「じゃぁ、また明日。」
フェンスの向こうに一台の車が止まる。真っ赤な乗用車。
運転席から降りてきた女の人は、真っ黒の艶やかな髪をなびかせて、こちらに笑顔を振りまく。
笑われているようだった。「ごめんなさいね」って、あざ笑うかのようだった。彼女は優しい人だと知ってても、どうしても、そう。
:11/10/21 01:29 :F05C :cO3GHvSY
#9 [サカナ]
滑らかにこちらに振られた手。
背中しか見えないのに、国松くんがあの笑顔でいるのがわかる。
濃密で冷ややかな空気が鼻の奥でしみた。
:11/10/21 01:30 :F05C :cO3GHvSY
#10 [サカナ]
ハンドルを握る彼女の薬指、国松くんの笑い皺。
僕は手を振って、見送った。
―‥空がもう、落ちてきそうだよ。
(..end)
:11/10/21 01:33 :F05C :cO3GHvSY
#11 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑a
:22/10/07 16:21 :Android :GR1soPvw
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