Fabric (短編集)
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#1 [p] 11/11/03 19:01
人は
絡み合い、
重なり合い、
共に生きている…―。
それなのに何故、
孤独を選ぶのだろう。
#2 [p]
:11/11/03 20:46 :Premier3 :p.LqNNiE
#3 [p]
世界は終わった…―
そう思った。
これで終わりだと
そう思ったのに…
:11/11/04 18:16 :Premier3 :CNRVsgw.
#4 [p]
目が覚めると、真っ白い壁に囲まれた部屋の中にいた。
外から差し込む光がやけに眩しく、窓から入ってくる風が体に当たると、少し冷たかった。
部屋の外からは誰かの足音や静かな会話が、微かに聞こえてきた。
部屋の中で響くのは機械の音だけだった。
左腕には何かに繋がれているような違和感を感じた。
私はここが病院であることにすぐに気がついた。
世界は終わってはいなかった。
私はまた、この世界を進めて行かなければならないのだ。
:11/11/04 18:17 :Premier3 :CNRVsgw.
#5 [p]
部屋にひとりの看護婦さんが入ってきた。
白肌に似合う黒髪ボブヘアのその女性は、私の顔を覗きこみ優しく微笑む。
「気がつかれましたね。今先生呼んできますね」
看護婦さんはそう言って部屋をあとにした。
とても感じのいい人のように思えた。
しばらくして、先生が看護婦さんと共に私の状態を確認しにきた。
その最中、部屋に入ってきたのは私の家族だった。
父も母も心配そうな顔でベッドの横に並んで立っている。
先生と看護婦さんは私の両親に無事を伝え、部屋を出て行った。
父も母も礼を言っていた。
:11/11/04 18:18 :Premier3 :CNRVsgw.
#6 [p]
そのあと母の口から出た言葉は「どうして」だった。
それもそのはず、何不自由無く普通に暮らしていた私が、突然薬を多量摂取して自殺をはかったからだ。
家族もいる、友達もいる、お金もないことはない。
そんな私が自殺をはかるのだから、疑問を抱くのは当然だ。
だからといって、理由もなく自殺をしようとしたわけではない。
しかし説明するのは難しく、理解を得ることは容易でないと分かっていたので、誰にも話すことはなかった。
:11/11/04 18:19 :Premier3 :CNRVsgw.
#7 [p]
そんな私が3日間の入院中、一度だけ自殺という言葉を口にした。
それは私が目を覚ましたとき、最初に気づいたあの看護婦さんに対してだった。
彼女は1日に2、3回私の様子を見に来る。
私には点滴を確認する彼女の姿がとても美しく見えた。
それは男女の間に生まれる恋というものとはまた違う。
人間としてとても美しい人のように見えたのだ。
他の看護婦さんとは違っていた。
彼女は気が強そうで少し毒舌だが、常に周りには笑顔の患者さんがいた。
私もそのうちのひとりだった。
:11/11/20 10:11 :Premier3 :HAR6MF8Q
#8 [p]
ある日、彼女が私の病室を訪れたとき、
「自殺ってどう思う?」
私は唐突に聞いてみた。
彼女は何か作業をしながらいつものように微笑んでこう答えた。
「別にいいんじゃない」
意外な答えが帰ってきたので私は驚いた。
「看護婦さんがそんなこと言っていいの?」
私が意地悪そうに言うと、彼女は鼻で笑った。
「自殺する人の気持ちなんて私には分からないもの」
彼女は作業をする手をとめることなく答えた。
価値観なんて人それぞれだと言っているようにも聞こえたが、素直にそう受け止められなかった。
私は何も言わず上を向いていた体を窓の方に向けた。
もう少ない暖色の葉が風に切なく揺らされていた。
彼女は私の背中を優しく2回叩いてから部屋を出て行った。
:11/11/20 10:15 :Premier3 :HAR6MF8Q
#9 [○○&◆.x/9qDRof2]
↑(*゚∀゚*)
:22/10/19 19:58 :Android :A4ZzuHng
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