切なくて、君に恋。

言うだけ言って男はスタスタと行ってしまった。

男の背中に向かって

「最っ低!!!!!ちょっと顔良いからって調子乗んな馬鹿～!!!!!!」

って叫んだけど振り向きもしなかった。
なんかナメられてる感じですっごいむかつく。

自分の教室をバン！っと勢い良く開けて

「望月です。遅くなってすみません。」

と無愛想に言うとご立腹なのが先生に伝わったのか"あぁ…"ってそれしか言わなかった。

「未来っ♪」

席につくと後ろからツンツンされ名前を呼ばれた。
振り向いて挨拶をする。

「雅！おはよー☆」

彼女は山河雅(ﾔﾏｶﾜﾐﾔﾋﾞ)
小さな頃からの私の友達。
いわゆる幼なじみってやつ。
ドジな私を１人にさせらんない、と言って私と同じ地元の高校に受験してくれた本当に良い人！
雅のことは本当に信用している。
なんかお姉ちゃんみたいなんだ♪

「おはよー☆じゃないわよ！来るの遅いっての！何？寝坊したの？」

「そ、寝坊したの～」

「ったくあんたねぇ…」

喋ってたら先生に注意されてしまい、私は急いで前を向いて大人しくしていた。

もうすぐ体育館に移動して入学式が始まる。

そこで１年生全員が初めて顔合わせをするわけだ。

さっきの美男子……じゃなくて、変態男との最悪な出来事は忘れてしまっていた。

体育館に入り、入学式が始まった。

校長の話や生徒会長からの話。
"入学おめでとう"のたった一言で良いのにあまりにも長いのでかなり退屈だ。

ながーい入学式が終わって下校時間になると急に周りがザワザワし始めた。

「あの人かっこいー」
「まじタイプだし！」
「彼女いるのかなぁ？」

なんなの…？

「ねぇ、未来！あんたの好きそうな感じの超イケメンくんがいるよ！」

「え！まじで？どこっ？」

もちろん面食いな私はすぐその話に食いつく。
自分で笑えるぐらい単純(笑)

「あっち！」

人混みで背が低い私には全然見えない。

「どこ～？全然見えないよ～」

「ほら、おいで♪」

雅に手をひかれ着いて行くと、

「え…………」

そこに居たのは朝の変態男だった。

「ピンクちゃん！」

「なっ…！ピンクちゃんって言うな！」

変態男は私に気がついて変なあだ名で声をかけてきた。
てかピンクちゃんって…
いい加減やめろっての！

「えーなにー？未来知り合いだったの？」

雅にそう言われて私は全力で首を横にふる。

「違う違う違う!!!!!全っ然知り合いじゃない!!!!!」

それなのに変態男は

「あー、今朝知り合ったんだよ。この子のパンツ見て。ね？ピンクちゃん☆」

「ちょっと！誤解されるような説明するのやめてよ！あんたみたいな変態男と知り合いだなんてごめんだわ！」

雅はパンツってなんの話？みたいな感じの顔して首を傾げていた。

「いいじゃーん。本当の事なんだし♪」

「だから誤解されるからやめろっての！雅、違うのこれはね…」

「んー…なんか良く分かんないけど仲良さげだし私邪魔みたいだから帰るね。じゃあお二人さん、ごゆっくり～♪」

「ちょっと雅!!!!!」

雅はニヤニヤしながら帰って行ってしまった。

そんな気使いなんて全くいらないよ～(泣)

「ピンクちゃんどうする？」

「どうする？じゃないでしょっ。雅に誤解されて雅帰ってったじゃない！てかまずピンクちゃんて呼ぶなー！」

変態男はなぜか私を見てクスクス笑う。

「何が可笑しいのよ？」

「いやー、ピンクちゃんて面白いなぁって。オーバーリアクションだしいじり甲斐があるし。なんか可愛い。」

「なっ……！///」

可愛いなんて言われて思わず照れちゃう私。
って私ったら何赤くなってんのよ！こんな奴に言われたって何も嬉しくないんだから！

「からかわないでっ。あんたなんかと喋ってたらイラつくだけだわ。私帰る。さようなら。←(棒読み)」

私は先にスタスタと帰って行った。

次の日、今日は寝坊もしないで身だしなみは完璧♪

教室に入ると雅は"昨日どうだった？"って聞いてきた。

私は変態男と出会った時の話、あの後すぐ帰った事を説明した。

案の定雅はつまんなそうな顔してたけどね。

入学式の次の日なのに今日から授業もあるし学校も１日ある。
まだ学校に慣れていなくても学生生活とはこんなもの。