足りない
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#1 [主] 11/11/18 03:45
 
 
ない、ない、ない

わたしには"アレ"が足りない

#5 [主]
 

そんな希望を持った口ぶりだけど
本当は半分…いや、半分以上
こんな人生なんだって諦めてる。

ただ毎日通う場所が学校から会社に
なって少し責任が重くなるだけ。


誰か助けて


わたしの希望は届かずに
また同じ朝日が昇り同じ7時に起床した

夢は夢のままだし
貧民は貧民のままなんだ

貧民はお姫様にはなれないし
カボチャは馬車にはならない

はずだった。

⏰:11/11/18 04:00 📱:SH005 🆔:S80rjsA.


#6 [主]
 
「あっ!もう〜遅いよリナ〜」
「ごめん、ごめん。祐子は相変わらず早いね、しかもいつも気合い入ってるし」
「いつどこで王子様に巡り会えるかわかんないじゃん!」

いつも通りだ

祐子の上を向きすぎな人工的な睫毛も
少し粉を吹いている肌も
真っ赤な頬もギットギトな唇も
口癖のような台詞も

プシュー…
-白線の内側まで…

電車の到着時間も半分以上聞いてない
アナウンスまでも全て、全部。

⏰:11/11/18 04:07 📱:SH005 🆔:S80rjsA.


#7 [主]
 

電車に乗り、祐子といつものような雑談をしていると

バシバシッ!

「痛っ…なにすんのよ、祐子」
「お、お、王子様!」
「はぁ?」
「今世紀最大のイケメン王子様発見!」

祐子は二週間に一度くらいの割合でこの台詞も言うから

「またぁ?今度はどんな‥」

いつものような普通の男かと思ってた

「やばくない?やばくない?本当にイケメン!てゆーかやばい!」

興奮した祐子がまだ肩をバシバシ叩いてくるけど

それも気にならない、いや感じない
わたしの時が止まっている
その王子様にしか目に入らない

⏰:11/11/18 04:12 📱:SH005 🆔:S80rjsA.


#8 [主]
 

周りが見えないほどわたしだけが止まっている

その王子様は薄茶の髪の毛に
小さなパールみたいな顔に白い肌
長い睫毛を伏せて
イヤホンから音楽を聞いてるようだ。

一瞬で細部まで説明できるほど
わたしは見入ってしまった

そして

「…っ」

彼のふと上げた視線と
その薄茶のビー玉のような綺麗な瞳に
わたしは動きすら止められた

まだ祐子はなにか言ってるけど
まだ肩は叩かれて痛いけど
もうそんなもの気にも止められない。

わたしの人生初めての"刺激"が
心をグサグサと刺している、激しく。

⏰:11/11/18 04:16 📱:SH005 🆔:S80rjsA.


#9 [主]
 

祐子のあまりの大きな声のせいだろう
彼がこちらを見た。

わたしもただ彼の瞳を見ていた。

男にしては大きなその瞳に
吸い込まれるようにただ、ただ、
わたしは彼の瞳を見ていた。


「やばぁい目が合っちゃったよ〜これもう声かけた方が良かったよね?ねえ、リナ!あ〜格好良かった!明日もまた同じ電車乗ってくれるかなぁ?あ、でもじゃあなんで今まで会えなかったんだろ…どうしよー!もう会えなかったら…やだー!」

電車から降りても祐子は彼の事をまだまくし立てるように喋っていた。

⏰:11/11/18 04:21 📱:SH005 🆔:S80rjsA.


#10 [主]
 

「そうだね」

返事をしながらもわたしは彼のことで頭はいっぱい。

これが恋なのかな?
きっと、そうだ
わたしあの彼に恋に落ちたんだ…

1番しっくりした感情だと
あの時わたしはそう思っていた。




それからのわたしは
人が変わったように彼の為だけに動いた

⏰:11/11/18 04:23 📱:SH005 🆔:S80rjsA.


#11 [主]
 

祐子のたくさんの元カレ達のおかげで簡単に彼の学校は割れた。
あの学ランは前の前の祐子の彼と同じ学ランだ。

少しお馬鹿な祐子は気づかなかったみたいだけれど…

学校がわかればあとは簡単だった。

祐子と友達からの誘いを断り、
彼の学校から出てくるのを待ち伏せて
声をかける。

でも…突然恥ずかしくなってしまったわたしは結局彼の家の前までつけてしまった。
いつもは照れ屋でもないくせに…

彼の家は普通の一軒家だった。

…明日にしよう。
きっと同じ電車で会えるから

⏰:11/11/18 04:31 📱:SH005 🆔:S80rjsA.


#12 [主]
 

わたしは根拠の無い自信があった。
彼はきっとわたしを愛してくれる、と。
ああ、なんでこんなに出会うのが
遅れてしまったんだろう…
こんなに刺激的な毎日はない。
素敵だ。恋は、愛は、素敵だ。

次の日、あの駅で始発から待った。
祐子にはメールで断っておいた。


彼は7時半の電車に乗りにやって来た。
あぁ、会えなかったわけだ…

彼は剣道部だったようで
カバーに入れた竹刀のようなものを
持っていた。
昨日は持ってなかったしお休みだったみたい。

声をかけようと同じ車両に乗ってみたが
やっぱり声はかけられなかった。

彼は今日も長い睫毛を伏せて
音楽を聞いていた。

⏰:11/11/18 04:40 📱:SH005 🆔:S80rjsA.


#13 [主]
 

結果彼は昨日と同じ駅で降りてしまった。
わたしは声をかけられず…


学校へ行ってからも、
ずっと彼のことが知りたくて
携帯から彼の学校を調べてみた。

彼が入っている剣道部が強いみたいで
すぐに彼と彼の写真、そして名前を
知ることができた。

彼は佐々木総馬くん。
わたしと同じ高校二年生。
どうやら剣道部のエースみたい。
ふふ…どこまでも格好良いんだね。

そして次はその学校の子のブログ。
名前や写真、いろんなところを
カチカチカチカチと捜す。

もう何個目かわからないほど
赤の他人のブログを見たところで
手が止まった。彼だ。
…けれど全然更新してないみたい。

先月で更新は止まっているし
過去五回しか更新していない…

⏰:11/11/18 04:52 📱:SH005 🆔:S80rjsA.


#14 [主]
 

ねぇ、総馬くん?おかしいよね?
わたしと出会ったあの日は更新してくれないの?
みんなにわたしと出会ったよ、って
運命の人と出会えたよ、って
更新してくれないの?

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
 2011.05.18 【最悪】
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
  ブログ始めました


  で、今日は負けちゃった
  全部こいつのせい

  [写真1][写真2]

  なんてね。
  皆頑張ったのにな。
  次頑張ろうな!
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

さっぱりした内容に
仲間の人であろう写真
やっぱ素敵だよ、総馬くんは。

⏰:11/11/18 04:59 📱:SH005 🆔:S80rjsA.


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