Stay with me...2
最新 最初 全
#1 [愛華] 11/12/07 14:38
#147 [愛華]
どくんどくんと自分の心臓の音が
聞こえる。真上にある天宮の目から
目をそらせない。
そらしてしまったら何かが
崩れてしまうような気がしたんだ。
あたしは今の状況よりも
天宮の言葉を理解することの方が
ずっとずっと怖くて、ただただ
頭が真っ白のまま、時間の節目に
流れるニュース番組の天気予報を
意識の片隅で聞いていた。
「天、宮……あたし……」
「ちょっと黙って。」
ごめんなさい。
直感で紡ごうとした言葉は
天宮によって遮られて、代わりに
天宮の唇があたしの首に
降りてきた。
:12/05/29 18:03 :iPhone :HMIxpIsA
#148 [愛華]
こんなこと、前にもあった。
あたしが首を怪我してしまった時、
天宮はそこを治療するかのように
何度もキスをした。
優しく、慈しむように。
でも今されているのは、
過去のそれとは全く別物。
「う、ぁっ……やだっ……」
小さく擦れた声しか出ない。
チクリチクリと鈍い痛みが首筋の
あちこちで走って、こんなことが
初めてのあたしはどうしていいか
わからず、とにかく天宮から
逃れようと顔を思い切り
横に仰け反らせる。
けれどまたすぐに
天宮の唇が追いかけてきて
それは無駄なんだと気づいた。
ちゅっちゅっとたまに響く音が、
その度に鼓膜を刺激して
無意識のうちにからだが跳ねる。
:12/05/29 18:25 :iPhone :HMIxpIsA
#149 [愛華]
触れるだけですぐ離れたり、
そう思うと強く吸われたり、
最初は抵抗しようともがいていた
手足も行為を続けられているうちに
くったり力が抜けて、今は
天宮に押さえつけられたままだ。
「ひぅっ……っ」
もう声という声も出ないでいる
あたしなんかおかまいなしに
天宮は今度は鎖骨に歯を立てた。
まるで食べられているような、
そんな感覚。
目の前で揺れ動く天宮の髪を
ぼうっとする目で見つめていると
天宮は、あたしの手を抑えていた
片方の手であたしの頭を抱え込んだ。
あぁ、肩しか見えなくなっちゃった。
頭の片隅でそんなことを考える。
今のあたしはどうすればいいかなんて
ことよりもこのままどうなるのか
ということしか考えられなくて
自由になった方の手で、縋るように
ただ天宮のシャツの裾を握った。
:12/05/29 18:48 :iPhone :HMIxpIsA
#150 [愛華]
それに気がついたのか天宮は
あたしの思いを無視するように
生暖かい舌をつーっと首筋に
沿わせて行く。
ゾクリと今まで味わったことのない
感覚が首筋から背中に走り、
頭の芯が麻痺したように痺れた。
やだ、怖い。怖い…
今天宮はどんな顔してるの?
「天宮っ…!やめ…」
声を出そうとすると、喋るなとでも
言うようにさらに行為は激しくなる。
甘噛みされたり、舐められたりする度
声が漏れそうになるのを必死で堪え
生理的に流れる涙はじわじわと瞳に
溜まって行く。
こぼれるのは時間の問題だ。
:12/05/29 19:34 :iPhone :HMIxpIsA
#151 [愛華]
どこでなにを間違ったのか、
馬鹿なあたしは見当もつかない。
ただ、怖くて哀しくて。
「俺にだって限界はあるんだよ…」
天宮は、ずっとずっと……我慢して
あたしと一緒にいたの?
迷惑に思ってるのを隠してたの?
あたしのこと邪魔だと思ってたのに
優しさで隠してくれてたの?
なにを自惚れてたんだろう。
あたしは、なんで…………。
急速に心が冷たくなっていく。
申し訳なさと恥ずかしさと悲しさと
そんな感情が混ざりあって
頭のなかが気持ち悪い。
溜まりに溜まった涙はとうとう
こぼれて、そのまま頬を滑っていく。
:12/06/06 00:27 :iPhone :OcI64qIg
#152 [愛華]
'
「ごめんなさい……ごめ、なさ……」
無意識に口から出た謝罪の言葉は
天宮に向けたものなのか自分でも
わからなかった。
天宮がその言葉を聞いてピタリと
動きを止めたのが見なくもわかった。
ゆっくりと上げられた顔と、
あたしを見るその瞳には
困惑の色が浮かんでいた。
「陽向、さん」
「ごめんなさい天宮…あたし、」
言いたいことはいっぱいあるのに
上手く話せない自分が
ひどくもどかしい。
:12/06/06 00:46 :iPhone :OcI64qIg
#153 [愛華]
ごめんなさい天宮。
迷惑かけているのに気づかないで
今の居場所に満足して依存して。
最低最悪だ。
でもどうして?
迷惑に思っているのならどうして
あたしを家族だなんて言ったの?
そんなこと言われなかったなら、
あたしはまだ「他人」のままで
ここを離れる覚悟ができたのに。
:12/06/06 00:50 :iPhone :OcI64qIg
#154 [愛華]
考えても考えてもわからなくて、
溢れてくるのは涙ばかりで。
天宮は、なにも言わずにあたしを
起き上がらせると、ごしごしと
服の袖で涙を拭ってくれた。
その真意がわからなくて
戸惑っていると、天宮はあたしの目を
見ないまま口を開いた。
その表情からは、
なんの感情も読み取れない。
「…………なんで陽向さんが、
謝るんですか。悪いのは俺なのに」
「ちが、あたし、今まで天宮に
いっぱいいっぱい迷惑かけてて……
なのに、それに気づかないで」
「そんなんじゃない」
有無を言わさないように天宮が遮る。
:12/06/06 04:09 :iPhone :OcI64qIg
#155 [愛華]
「陽向さんは……悪くない。
だから泣かないで下さい。
…………って言っても
泣かせてんの俺か……。」
天宮は自嘲じみた乾いた笑いを
こぼして手のひらで自分の顔を覆う。
泣いたら、天宮が困っちゃう。
あぁ、泣いちゃダメだ、ダメだ。
これ以上天宮に嫌われたら、あたし、
「……陽向さん、すいません。
今日は帰って下さい。
駅まで送りますから」
「……や、ひとりで……大丈夫。
歩いて、すぐだし……。」
「…………」
「ほんと、大丈夫だから、だから」
今は、ひとりにしてほしいんだ。
:12/06/06 21:29 :iPhone :OcI64qIg
#156 [匿名]
あげる
:12/12/28 15:14 :KYL21 :☆☆☆
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194