black coffee
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#1 [.] 11/12/13 22:24

書き込み禁止

#7 [.]

この店で私がNo.を取るのは意識せずとも簡単であった。


"こんなもんか…"

日に日に仕事に対する意欲も減り、刺激を求め私は店を転々とする。


どこの店でも直ぐにNo.入りする私は次第に街で有名になる。


「神崎 彩」

⏰:11/12/17 13:18 📱:N02C 🆔:VIgy4hVY


#8 [.]


誰か分からないお客も増え
お客様からは「彩さん」なんて呼ばれて、私は客を選ぶようになった。


セット内で私が1分も着かないのは当たり前で、客単価で仕事をする。

要は、安い客はいらない。って事。


⏰:11/12/17 13:21 📱:N02C 🆔:VIgy4hVY


#9 [.]


この街に来て3年。
3度目のbirthday。




更衣室まで埋め尽くす花の数。


プレゼントはブランドや
高価なアクセサリー。

それが当たり前だから、
別に嬉しくも何とも無い。

数々に空くシャンパンを、私は一口も飲まない。

昔から、酒だけは大嫌いだから。

⏰:11/12/17 13:26 📱:N02C 🆔:VIgy4hVY


#10 [.]


その日の営業終了後。


「彩さんお疲れ様です!
スタッフキャストからです!」

と渡されたヤケにでかい花束を見て私は言う。

「ありがと、誰か欲しい人にあげて?私、家に花瓶とか無いしこんなにあっても困るから。」




一瞬にして場の空気が凍り付いた気がした。



は?と言いたいばかりの顔で私を見下ろす店長に何?と言うと
お疲れ様でした。とだけ返って来た。


「お疲れ!」

私は笑顔を振り撒き店を後にする。

⏰:11/12/17 13:33 📱:N02C 🆔:VIgy4hVY


#11 [.]


つまらなかった。


毎日が退屈だったの。

せっかくの誕生日も
花とか高い物とかで飾られて…

心から祝ってくれる人なんて居なくて…

みんな見栄の張り合いで…



くだらなすきでつまらなかった…

⏰:11/12/17 13:36 📱:N02C 🆔:VIgy4hVY


#12 [.]

一つだけ持ち帰った
一番小さな花束を、炬燵で酔い潰れて寝てる母の横に置いて私は部屋に戻る。

真冬の夜中は流石に部屋の中まで冷えきっている。

「サムっ…。」





⏰:11/12/21 23:20 📱:N02C 🆔:4PhU.ai.


#13 [.]

何故だか寝付けず
時計はお昼の時刻を差していた。



「ねぇ!お母さん!
いい加減起きて!!!」


まだ酒臭い母親は一体何れくらい呑んだのだろう…


「んー…」

と重たそうに顔を上げた母の顔は浮腫んでパンパンだった。

⏰:11/12/21 23:22 📱:N02C 🆔:4PhU.ai.


#14 [.]

「華澄?いつ帰ったの?」

「いやいや!
もうとっくに帰って寝て起きた所!
てかさ、酒。
昨日飲みすぎちゃったの?」



優しく問う私に母は涙を流した。
俯く母に水を差し出し
私は昼食を作る。

料理は大嫌いだけど、買いに出るのも面倒だから自炊を心掛けてる。

⏰:11/12/21 23:29 📱:N02C 🆔:4PhU.ai.


#15 [.]

味気ないけど、私が作ったものを
美味しいと完食する母の姿が嬉しかった。



「華澄、いつもありがとうね。
お母さんしっかりしなくちゃ…」

そう言う母の横には今朝持ち帰った花が元気を無くしソコに横たわっていた。

「いいよ。今はゆっくりして…」

⏰:11/12/21 23:34 📱:N02C 🆔:4PhU.ai.


#16 [.]

私は溜まらず花をコップに埋けた。
枯れてしまったら可哀想だから…


「あら、綺麗なお花ね…
そのお花どうしたの?」


………………。


「あ、コレ…
昨日仕事で貰ったの!」

⏰:11/12/21 23:37 📱:N02C 🆔:4PhU.ai.


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