生徒×先生 (R18)

「待ってたよ。忘れ物あった？」

「あ、はい…ぇと、それよりどうしてあたし呼ばれたんですか？」

「なにかと役に立つかと思って」

と、言いながら濡れた白衣をハンガーへかける。

「はあ…」

濡れた髪の毛がやけにセクシーで、その濡れて透けているシャツから浮き出る細いわりにたくましい身体。

あれ…？
この人は本当に秋本先生…？

さっきからドキドキして仕方ない。

どうしてこんなに心臓が反応しちゃうの…？

「先生、その子の名前どーするの？」

「う～ん、ちっちゃいから“チビ”だなっ！」

わんっ！

尻尾を振って嬉しそうなチビ。
ふと、先生と目が合う。

ドキ…

「あ…小林さんもちっちゃいから…」

「言わなくて、いいですよ！」
怒り口調で言うあたしをクスクスと笑う先生。

「まだなにも言ってないのに～。なあ、チビ？」

わんっ！

なんか期待しちゃったじゃん…あたしのバカ。

「なーに、暗くなってんの？」

「なってません」

なんだか、ふてくされてるあたし。
なんでこんな態度取ってるのよ。

「ごめんごめん、俺ちっちゃい女の子のがタイプだよ」

「聞いてません」

「ほら、拗ねない」

目の前にある先生の顔がぐっと近くなる。

ドキン…ドキン…

コツン…

「先生の言うこと聞けないの？」

おでこに熱を感じる。
唇が触れるまであと３センチ。
わん！

ぐいぐいと先生のズボンの裾を引っ張るチビ。

「なんだよ、チビ～！遊んでほしいのかっ」

ふと離れる体。
もおあたしのことなんてほったらかし。

だんだん体が熱を帯びていく。
なにごともなかったかのようにチビと遊んでいる先生。

「可愛いな、お前は」

あたしのことなんとも思わないの？
ズルいよ、こんなの…。

あたしはもう先生のトリコ。

キーンコーン♪

授業の終わりを知らせるチャイムが鳴る。

「では、授業を終わります…」
すたすたと教室を出ていく先生。

「ねー柚麻ぁ、日曜日なんだけど―――」

「ごめんっ、ちょっとトイレ！」

奈々の話も聞かずに教室を飛び出す。

「せんせっ…」

「はい？」

「えっと…」

ヤバい…。
ただ話したくて飛び出てきたから、なんにも用ない。

………あ！

「チビ！チビ元気ですか？」

「あぁ、元気にしてますよ」

会話終了。

頑張れ、あたしの頭の引き出し!！

「久々に会いたいな～♪」

「…いいですよ。では…今日の放課後、科学準備室へ来てください」

そう言ってすたすたと歩いて行く先生。

「わかりました！」

本当かな～。
なんだか乗り気じゃなさそうだった。

「ってか、早く戻んなきゃ！トイレ長いと思われちゃうっ」

―――放課後。

「ごめんね！あたし今日寄るとこあるから先に帰ってて？」

「わかった！ゆっきー帰ろっ」

「うん。じゃあ私たち、先に帰るね？なんかあったらメールして」

「わかった、ありがとう。バイバイっ」

「ばいばいき～ん☆」

由紀たちと別れると、早足で先生の元へ向かった。