華が歩くように

「え？？なになに！？」

藤堂くんはびっくりしたように目をまんまるくする

「さっきのこと？」

笹田君はあたしを見てそう問う

こくん、と頷いた私に、笹田弟くんは「ああ、告白ね」と呟いた

「こ、こくはくぅぅ！？」

「千秋うるさい」

「さっき下駄箱んとこで話しかけてきたあの男子は歩華ちゃんに告白しようとしてたってのか！くそ！」

「あの雰囲気はそうだったね」
「だね」

頷きあう笹田兄弟

「なんか、私逃げたくて、みんなのこと利用したみたいになっちゃって」

「いや、全然、それは千秋が誘ってたし」
「そうそう、うちのジャンガリアンハムスターがわめいてたし」
「おい！なんでハムスターなんだよ！」
「え？ドブネズミのほうがいいの・・・？」
「俺は人間だわぼけ！！」

あ、あれ・・・

ぎゃあぎゃあ騒ぎ出す笹田君と藤堂くん

あ、あれれ・・

「つまり、気にしなくていいってことだよ」

弟くんにそう言われて、思わず笑みがこぼれる

「あの、笹田くん」

あたしがそう言えば

「「ん？」」

２人が反応した

あ、そっか

「二人とも笹田くんか」

ほんとそっくり

「そうなんだよ！俺も最初全然わかんなくてさ！区別つかねえのって！

はははっと笑う藤堂くん

確かにそっくりだよねえ

でも・・・

「でも、全然違うね」

私がそう言えば笹田兄弟は驚いたようにこちらを見た

「違う？」

「俺たち、区別つく？」

「え？つくよ」

何を言ってるんだこの双子

「遠くからだと分かんないかもしれないけどー、近くにいればすぐわかる！」

「だってね、祐樹くんのほうが髪の毛ちょっと明るいし、分け目が違う。
あと、祐樹くんは目の下にほくろがあるでしょ？
同じ顔に見えるけど、涼太くんのほうが少し優しそうだしー、
雰囲気がね、涼太くんは弟なのかもしれないけどお兄さんみたい
それと話し方が祐樹くんはだるそうで涼太くんはおっとり、ってかんじ！」

私が一気にそう言うと

３人は本当に驚いたようで

「なんか、びっくり」

「え？」

「俺たちのこと、そんなふうにすぐ分かるとか」

「普通じゃない？」

「普通じゃないよ」

関心仕切ったような笹田兄弟

「あは、でも笹田君って呼ぶと２人反応しちゃうね」

私が笑えば、「じゃあ名前で呼べばいいじゃん」と笹田くん

「え？」

「いいじゃん、祐樹、と涼太で」

「そうそう！！俺のことも千秋でいいからなー！」

「千秋は黙ってなよ」

「なにをう！！？」

そんな３人のやりとりに思わず笑みがこぼれる

「じゃあ、そうする」

こんなふうに学校帰りに誰かと寄り道なんてはじめて

ちょっと楽しかったりする

それは、３人が私に下心がないから

「やっべ！！笑った歩華ちゃんかわいいい！！」

千秋くんはなんだかうるさいけどまあよしとするか