『あいつの隣』

吉高翼 <よしたかつばさ>

29歳
結婚して３年目。

結婚生活は普通で

同じ歳の旦那
吉高健仁<よしたかけんじ>
とは、そこそこ
上手くいっている。

でも、あたしは女として

”まだ枯れたくない!!
このまま終わりたくない!!”

そう思ってた。

だから、昔の後悔を
今、取り戻そうと

”プチ同窓会”

の、計画をたてていた。

食事中先に口を開いたのは
ヒロプーだった。

「なぁ、今度の集まりはさぁ
花見がよくない？」

「いいね！あたしお花見ってしたことないなぁ～」

「まじ？レアキャラだなぁ」

「あはは
楽しみ♪いつになるかなぁ～」

「花見ったら４月だろ♪」

「じゃぁ来月かぁ～

てか、ココの料理美味しいね！」

「翼は昔から
美味そうに食うよなー」

「そりゃぁ美味しいからね！」

…

ヒロプーといると落ち着く。

短気なあたしなのに
ヒロプーとはケンカした事がなかったし、
ヒロプーはあたしが嫌がる事
したことなかった。

それは、ヒロプーが
あたしを想って気をつけてくれていたんだろうか…

それとも、何も考えてなくて
あたしにピッタリな性格だったのだろうか…

あたしは中学時代
常に美香と一緒にいた。

だから美香が休んだり
二者面談などの時は
１人でいた。

他の女子と会話する事も出来たが気を使ってまで一緒にいようとゆう気になれなかったから。

そんな時、ヒロプーは気づけば
あたしの隣にいた。

なに事もないように
当たり前に隣にいて
当たり前に笑いあっていた。

ヒロプーに'優しい'って
言葉は当てはまらない。
これはきっと同級生みんな肯定するだろう。

だけど、思いやりのある人だ。

昔も。

…今も。

ご飯に夢中になっているフリをながら、そんな事を考えていた。

.

ヒロプーとの再会から数ヶ月がたち夏がおとずれ…

約束したお花見が開催されることはなかった。

何度かヒロプーや洋に連絡はしてみたものの
二人の仕事の休みが合わなかったのだ。

.

世間は夏休みで
都内に嫁にいった友達が子供を連れ里帰りしていた。

「翼～帰ってきたよ★
暇な日遊ぼう～」

「おっけー！いつでもいいよ」

いつものお決まりパターン。

それから数日後
美香と里帰りしたケーコと３人で飲みにくりだした

.

「てか、合コンしたい！
どっかに男いないのー!?」

ケーコお決まりのセリフ

「いねーわ！」

そこにすかさず返す美香

３人で飲むと大体この会話になる。

「あたしは合コンよりプチ同窓会の方がしたいｯｯ!!
チョー楽しかったもん！」

「それ美香に聞いたぁ！
いいなー私にもｾｯﾃｨﾝｸﾞしてよ！いきたーい!!」

「無理！仲いい男友達違うじゃん(笑)」

「確かに～
じゃーやっぱ合コン！」

.

結婚しても子供がいても
相変わらずな地元の友達とのやりとり。

変わらないものって
沢山あるようで、実はあんまりない。
だから変わらない友達との
何気ないやりとりが大好きだしとても大切な時間。

１日くだらない話や
お互いの旦那の愚痴などを話し盛り上がった

.

― 数日後 ―

「もしもし翼？
合コンやりますよー！

美香からの突然の報告電話。

「はっ!?誰と？」

「んー、こないだたまたま知り合いに会って、その人達と」

「いくつ？」

「うちらの3個上
強制参加だからよろしくー
後、翼とケーコは結婚してないって事にするからよろしく(笑)」

「まじですかー
わかったよー」