暴君女と性悪男

「お前、歩くスピード落とせよ！」

「うるせぇ。俺には俺のペースがあるんだよ。嫌ならついて来るな」

「なん『あ、蘭君おはよー！』

「あ、おはよう。ニコッ」

そんなお話。。。。

「それで、何があっても俺に話さないつもりか？」

「うん。」

断言が早ぇよ。
やっぱり隠し事あるじゃねぇか。

「やれやれ。だったら俺は帰るぞ？」

「え、早くない？」

「だって隠し事してるんだろ？
だったらいる必要ねぇし。」

そう言うと一人でうねりながら悩み出した。
どうやら言おうか否か悩んでいるみたいだ。

「どっちなんだよ。」

「言いたくないけどまだいてほしい。」

........こいつはバカか？
ある意味告白してるじゃねぇか。

今まではそんなこと言わなかったし、昨日の今日だからな。
どうせ、昨日俺の質問がわからずに友達に聞いて、自覚したってことだろ。

俺の勘違いじゃなかったら、こいつの隠し事くらい簡単に想像がつく。

あえて、口に出す必要もないけど。

仮に告白だとして俺の返事は決まってる。

まぁ、それは置いておこう。

「ねぇ、蘭？
今言いたくない。
もっとはっきりしたら言うからそれまで待ってくれない？」

だから、それはほとんど告白だっていうの。
そんな表情でこっち見んなよ。
俺も男なんだから襲いたくなるだろうが。

「わかったよ。待ってやるよ。」

「ありがとう。ってかそもそも、最近の蘭は私をいじめすぎだろ！」

あーあ、言葉遣い元にもどってしまった。

「いや、別にいじめてねぇし。
お前が勝手に困ってるだけだろ。」

いや、最近明らかにいじめるようになった。
前はまだ私のことを女として見てたのに。

ってことは、私って今女に見られてないのか？

「ねぇ、私って女に見えないのかな？」

「は？！いきなりなんだよ。」

すこし驚いた表情したけどすぐに戻った。

「やっぱり。だから男友達とかもできないし、モテないんだなー。」

別にもてなくてもいいけど。

蘭を見るとよくわからない表情をしてる。
けど、なんとなくまたバカにされてる感じがする。

「お前ほんとバカだな。」

ほらね。
長年バカにされてたら、だいたいわかるっていうもんですよ。

「お前本当に自分がモテてないとでも思ってんのか？」

「え？もちろん。
だって男の子誰も話しかけて来ないし。
別にいいけどね。」

なぜか、はあっと溜め息をつかれた。
なんだこいつ。

「まぁ、いい。けどお前はちゃんと女だぞ。」

ちゃんとってなんだよ。

「少なくとも俺には可愛く見えるぞ。」

「....................」ボンッ

「あれ？玲奈？おーい。」

玲奈は目の前が真っ暗になった。

「あ、あれ？」

「やっともどって来たか。」

あれ？私、なにしてたんだっけ？
よく覚えてないや。

「そろそろ俺帰るからな。」

「あ、うん。」

「あ、そうそう。」

チュッ

...........ピー・・・・・・・・・・・・・

「あ、死んだ。
おでこにキスしただけだろ。
じゃあな。」

「..........どうしてこうなった。」

「それは私も同感だ。」

冬休みに入って(時間軸意味不明とか言うなよ)、なぜか、私の家族と蘭の家族と旅行を行く話が出た。

兄貴が帰ってくるのかと思ったら帰ってこないどころか話すら聞いてなかったらしい。
この時点でおかしいと思えばよかった。

そして、お互いの両親は仕事があるからと、私と蘭を先に行かせた。
そしたら来ない。

っていうかホテルが私たちの分しか予約されてなかった。

確信犯じゃねぇか。

ババアに電話したら
『ちゃんと大人にしてもらうのよー♩』
だとよ。

それが自分の娘に言うことか？

「まぁ、あれだ。このことは、後で追求するとして、4日間どうするかを考えるか。」

今はホテルの部屋に入って現状確認しているところ。
ってか、順応力半端ない。

「三泊四日だもんねー。」

「とりあえず晩御飯食いに行くか。
それから後のことは決めるか。」

蘭に言われるがまま街に出かけた。

なんか来たことないところだといつもと違って緊張する。