呼吸

"うわっ怖っ"

人はまるで汚い物をを見るかのように
私を見下ろし通りすがる

渋谷ハチ公前

いつから私はずっと座ってるんだろう

深夜1時､新宿

今日はどーしよっかな

ただﾎﾞｰっと座っていると私の隣に誰かが座った

「おねーさん」

「……」

「おねーさん1人？」

「……」

「……おねーさん､孤独なんだ」

そいつはｿﾌﾄﾓﾋｶﾝのいかにもチャラそうな男だった

「………孤独？」

「そう､孤独」

「ふっ…そうかもねー」

「じゃあ仲間｡俺も孤独」

「…………」

【そーちゃあんー】

「あ､女きた｡じゃね」

「………何処が孤独よ」

それから私は２時間ぐらい座っていた

ﾅﾝﾊﾟやらｷｬｯﾁは当たり前にされたけど興味なかった

"孤独なんだ？"

そーなのかな？
確かに私には何もない

友達も親もお金も…

これから私はどう生きていくのかな？

「きみ？未成年だよね？」

「…？」

「未成年でしょ？ちょっと来てもらえる？」

警察だ

「…成人だけど」

「証明するのある？その荷物なに？家出でもしてきたの？」

「………」

「ちょっと近くの交番までこれる？」

「…」

やばい｡
こんなんで補導されたらまた家に行かなくては行けなくなる

どーしよ…

「さあ来なさい」

無理矢理私の腕を掴み
交番に連れてこうとする警察官

「やっ…はなし「なおー！待ったあ？」

ふと私は声をかけられた気がした
だが私はなおなんて名前じゃない

"なお"って呼んだ人を見るとそこにはさっき話した男がいた

「お巡りさん～？僕の彼女をさらう気かい？」

「なっ…そんな訳ないだろう」

警察官は慌てて私の腕を離した

「今から俺の家泊まるんだよね～だから荷物多いわけ｡しかもなお～お前23歳なのになあー」

「う…ん…」

「…そーか｡悪かったな｡じゃあ気をつけて帰るんだぞ」

「ういーっす」

呆気なく警察官は去っていった

私が成人って言った時は信じてくれなかったのに

「あ､ありがとう」

「いえいえ♪つーかここにいたらまた補導されちゃうよ？」

「んーそだね｡」

そうは言っても足が進まない
私には帰る場所がない

「家出ねぇ…」

「……家出じゃないよ｡もう帰らないし｡」

「ははっ…それが家出っつーんだよ」

家出…かあ…

「………」

「そんな思い詰めんなって！」

【そーちゃん！】

「ほらぁ彼女さん呼んでるよ？」

「ちょっと待ってて」

男は女の元へ行った

いーなぁ…あの人の居場所はあの女の人だよね？

ちゃんと帰る場所がある