救世主……なんて誰が決めた!?
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#1 [ユウキ] 12/12/26 18:04
 
―――「世界を救えるのは君だけだ。」―――

こんな言葉、言われた事ある人間はいないだろう。まぁ言われた事あるとしたらゲームでとか、どっかのオカルト宗教の奴等ぐらいかな。

でも俺の目の前に立つ男は真剣な顔で、サラッと言いのけたのだ。

こんな…

「ははっ…え、えぇ?…ははは…」

こんなただ苦笑いするしかできない俺、
朝野空太。普通の高校生にだ。

「………マジで?」
.

#2 [ユウキ]
 
全ての始まりはいつからだったのだろうか。

俺にとってハッキリわかるのは三日前からなのだが、それよりも前から始まっていたのだ。

とりあえず今に至るまでの三日前からの話をしよう。

―――三日前、その日は朝から晴れていた。
いつもと同じ携帯のアラームで起きて、口うるさい母親に急かされながらバタバタと支度する父親と弟、と俺。

「にーちゃんドライヤーまだぁっ?!」

口に歯みがき粉をつけたまま弟の海斗が睨んできた。

「もう終わるって!っつかお前口に歯みがき粉ついてんぞー。」

へっと鼻で笑いながらドライヤーを渡すと口を拭きながら海斗が尻に蹴りを入れてきた。

「いっ、てーな!てんめぇー、」
「んだよ、やんの「もういーからっ早くしてよ!俺まだ歯も磨けてないんだよぉ?」

俺達の後ろで父さんが嘆くと

「まったく毎朝こりないねー。アンタらの内誰か一人でも早起きすりゃまだマシになるのにさぁ、誰もやんないし。血筋かねぇ。」

洗濯物を手にそんな俺達を冷めた目で母さんが横を通りすぎる。
.

⏰:12/12/26 19:23 📱:SO-03D 🆔:☆☆☆


#3 [ユウキ]
 
「―…では次はお天気のコーナーです。舞ちゃーんっ?」
「はーいっ☆皆さん今朝は―…」

さっきまで洗面所で騒いでいた男三人がそれぞれ椅子に座り静かにテレビを見つめる。

「アンタら好きなタイプも似てんのね。さすがですこと。」

「お、俺はこのあとの占いを…」

毎度の父さんのその言い訳が更に気まずい雰囲気にするのも舞ちゃんの笑顔が吹き飛ばす。

「今日は紫陽花の道ができる事で有名な広福寺に来ていまぁす☆見てくださいっ、色鮮やかな紫陽花が道を作ってますよぉ!」

舞ちゃんからカメラが紫陽花に写ると本当に青やピンクの紫陽花が咲き道を作っていた。お寺だけあって質素な道だが、それが逆に紫陽花の存在を引き立てているように感じた。

「紫陽花って言えばさー、花言葉。なんだっけ?」

「花言葉?そんなん知らん。」

海斗が頬杖をつきながら興味無さそうに言うと、

「アンタ花言葉なんか興味あったの?」

母さんが笑いながら俺の横に座ってきた。

テレビには紫陽花をバックに全国の天気予報図が写っている。

「いや、別に…でもなんか聞いた事ある気がしただけ。勘違いかも。」

思い出せそうで思い出せない嫌なモヤモヤを感じたが、それもすぐに舞ちゃんの笑顔で忘れ去った。

⏰:12/12/26 22:04 📱:SO-03D 🆔:☆☆☆


#4 [ユウキ]
――――――――――
「梅雨なのに今日珍しく晴れてるなー。俺強気に傘持ってこなかったわぁ。」

ハッとして周りを見渡すと同じ制服を着た女子生徒二人組が足早に横を通り過ぎていった。

しまった…またやっちまった…

なんでかここ数年で独り言が増えた俺は、一応は気を付けているがいつもこうやらかしてしまう。

高校入学時からこんなんで未だに一部の生徒からは[霊感がある]だの[中2病]だのと言われる始末。

……泣きたい。

「おはよー、空太。」

声をかけてきたのは同じクラスの涼宮と中学から一緒の片柳だった。

「…はよ。」

凹む俺の背中を叩きながら片柳が笑う。

「わかりやすっ!気にすんなってぇ、今に始まった事じゃねーんだしさっ!」

「そうだよ。お前の独り言聞いてただ反応ができない子もいるってだけじゃん。もう大半の奴は笑って気にしないって。」

二人の慰めに俺は肩を落とす。

「だけどさぁ、やっぱ変じゃん?家じゃ言わないのにこういう時に出てきやがるしっ…クッソー!昔はこんな事なかったんだからっ、ねぇ片柳きゅん!?」
.

⏰:12/12/27 00:42 📱:SO-03D 🆔:☆☆☆


#5 [ユウキ]
――――――――――
「梅雨なのに今日珍しく晴れてるなー。俺強気に傘持ってこなかったわぁ。」

ハッとして周りを見渡すと同じ制服を着た女子生徒二人組が足早に横を通り過ぎていった。

しまった…またやっちまった…

なんでかここ数年で独り言が増えた俺は、一応は気を付けているがいつもこうやらかしてしまう。

高校入学時からこんなんで未だに一部の生徒からは[霊感がある]だの[中2病]だのと言われる始末。

……泣きたい。

「おはよー、空太。」

声をかけてきたのは同じクラスの涼宮と中学から一緒の片柳だった。

「…はよ。」

凹む俺の背中を叩きながら片柳が笑う。

「わかりやすっ!気にすんなってぇ、今に始まった事じゃねーんだしさっ!」

「そうだよ。お前の独り言聞いてただ反応ができない子もいるってだけじゃん。もう大半の奴は笑って気にしないって。」

二人の慰めに俺は肩を落とす。

「だけどさぁ、やっぱ変じゃん?家じゃ言わないのにこういう時に出てきやがるしっ…クッソー!昔はこんな事なかったんだからっ、ねぇ片柳きゅん!?」

「うわっキモ!抱きつくな!俺まで変人に見られんだろーが!」

「腐れ縁だろっ、てめぇも道連れだバカ柳ぃ!」

「っこの、アホ太ぁぁ〜!!」
.

⏰:12/12/27 10:36 📱:SO-03D 🆔:☆☆☆


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