君を待つ
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#1 [メグ] 13/03/12 18:54
─ねぇ、そこから私が見えますか??
─いつだって、あなたに甘えて、支えてもらってばかりだったね。
─そんな私のことしか知らないかな??
─それとも、私の成長どこかで見てくれてる??
─今でも時々、たまらなくあなたに会いたい時があるよ。
#3 [メグ]
「篠宮先生??聞いてる??」
まだまだ暑さの残る夏の終わりの午後、私は何回目かの呼びかけで我に返る。
『え…あ、ごめん。何の話だったっけ…??』
いけない、と思いながらもこの季節はつい考え込むことが多くなってしまう。
「もぅ!!来週の体育祭の救護テントと担当生徒の名簿!!」
そう言いながら同い年の同僚•柳井千晴は、束になったプリントを私に差し出した。
『あ、ありがとう。そっか、今日私会議出れなかったから…ごめんね、わざわざ。』
:13/03/16 23:15
:N-06C
:☆☆☆
#4 [メグ]
プリントを受け取りながら、お礼を言う。
柳「いーよ。いや〜やっぱ保健室は天国だね〜極楽じゃ♪」
うーんと伸びをする彼女に私は頬を緩ませた。
『まだ暑いもんね、この暑い中生徒達、練習して大丈夫かな。』
柳「高校生って無敵だからね〜、ほんと若さって最強の武器。」
確かに、と思う。
柳「あ、ねぇ今日の合コンほんとに行かないの?!刑事だよ??!いーの??」
思いだしたように声を荒げる千晴に驚きながらもため息が出る。
:13/03/16 23:27
:N-06C
:☆☆☆
#5 [メグ]
『行かないってば。』
柳「何でよ〜アタシらもう26よ!?そろそろ将来の相手、てのが欲しいじゃない!!」
『私はいいから楽しんできて。』
その後も何度か、結婚が〜やらアラサーがどうのとか…千晴は言っていたが首を縦には振らない私に諦めて部屋を出て行った。
『ふぅ…少し空気入れ替えようかな。』
嵐が去った後のようにシンとした、真っ白な部屋に私の声だけが響く。
篠宮雪・26歳。
高校養護教諭。
『君を待つ』覚悟をしてから3回目の夏。
:13/03/16 23:41
:N-06C
:☆☆☆
#6 [メグ]
─8年前─
『あ!!蒼依〜私たちまた同じクラスだよ!!』
私は隣でクラス発表を見ていた蒼依の袖を引っ張りながら言った。
蒼「ほんとだ、また1年よろしく。」
『うん!!嬉しい〜やったー♪』
そう言いながら、走って人混みから抜け出す私の姿を少しだけ後ろから蒼依は追いかけて来た。
蒼「雪、あんまり走ると誰かにぶつかるよ??」
『だーいじょうぶ!!早く行こ!!』
:13/03/17 14:15
:N-06C
:☆☆☆
#7 [メグ]
蒼依はいつもこうだ。
まるで私の保護者みたいに、少しだけ後ろから私を見守ってくれてる。
─一応、恋人同士…なのにな。
蒼「雪??どうした??」
走っていた足を突然止めた私の顔を蒼依がのぞき込んだ。
『……何でもないよ』
蒼「そう??なら学校の裏の桜がもう満開だから少しだけ遠回りして帰ろうか。」
そう言って、私の手をごく自然にとる蒼依の笑顔は私の不安を帳消しにする。
:13/03/17 14:21
:N-06C
:☆☆☆
#8 [メグ]
『うん!!』
手をぎゅっと握り返すと、蒼依はまた私の大好きな笑顔を見せた。
───……
『うわ〜…きれーい!!まっピンク〜!!』
ちょうど私の通う高校の裏口から出たすぐの道は桜並木。
たくさんの生徒達の入学、進級を祝うように咲き誇る桜はまさに圧巻だ。
蒼「ほんとに、毎年見事な咲っぷりだね。」
高校1年の時からだから、蒼依の隣でこの景色を見るのは、今年でもう3回目。
:13/03/17 14:32
:N-06C
:☆☆☆
#9 [メグ]
『溜め息でるくらいきれい…でもすぐに散っちゃうから淋しいね。』
蒼「……」
同意を求めて隣を見上げると、蒼依は黙ってほほえんだ。
蒼「きっと知ってるんだよ。」
『へ…??なにを??』
蒼『自分がすぐに散ってしまう…ってことを…だから、こんなにきれいに咲くんだと俺は思う。』
蒼依はたまに、普通は人が考えもしないようなことを言う時がある。
その対象が花でも、人でも、モノでも…こんな風にその対象自身の気持ちを代弁する、みたいな所がある。
:13/03/17 20:50
:N-06C
:☆☆☆
#10 [メグ]
真田蒼依(さなだ•あおい)。
私たちは幼なじみで、恋人同士。
文字通り小さい頃から蒼依が大好きだった私は、中学の卒業式に蒼依に告白した。
それから、小さな喧嘩もするけど、いつも私たちは一緒だ。
『………』
蒼「あ、ごめん…せっかくきれいな桜見てるのに変なこと言って。」
黙って自分をじっと見つめる私に蒼依は申し訳なさそうに謝る。
私が拗ねて、口利かなくなった時と同じ顔。
:13/03/17 21:04
:N-06C
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#11 [メグ]
『んーん!!やっぱり蒼依はすごいな〜って思ってただけだよ。』
蒼「……??」
不思議そうにする蒼依に私はにっこり微笑んだ。
『私はただきれいーって言うだけで、蒼依みたいに難しいことまで考えらんないもん!!』
蒼「それで十分だよ、きれいなモノを見てきれいだなって感動出来るって大事なけとだよ。」
そう言って笑う蒼依の方が桜よりも綺麗だと私は思ってしまう。
『ありがと、蒼依大好き。』
腕に抱きつく私に「俺も」と蒼依は答えた
。
:13/03/17 21:14
:N-06C
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#12 [メグ]
☆更新終了☆
こんばんは、初めまして。
以前もここで小説書かせていただいておりました。
初めましてでない方は、また私の小説に目を通していただいてありがとうごさいます。
前の作品とは、全く違う書き方で書いています。
過去と現在、2つの場面が入り交じります。
まだまだ、素人当然ですので分かりにくい場面等ありました何でも言って下さい。
もちろん、感想もありましたらお願いします!!
:13/03/17 21:20
:N-06C
:☆☆☆
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