『幸せなら』
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#1 [狂志郎] 13/09/07 22:04
幸せなら手を叩こう。
幸せなら手を叩こう。
幸せなら…幸せなら…。
#5 [狂志郎]
ドスン!
畳を焦がす煙草を目掛けて、無羅は拳を落とした。
『幸せなら、手なんか叩かねぇ…。』
そう言って、無羅は落ちた煙草をつまみ、たんまりと吸い殻が溜まった灰皿へと落とした。
:13/09/07 22:19 :au/KC4A :☆☆☆
#6 [狂志郎]
『幸せなら…』
第一章
〜修司〜
:13/09/07 22:23 :au/KC4A :☆☆☆
#7 [狂志郎]
大きめのバイクを丁寧に磨く男がいた。
茶髪に染めた散切り頭が似合う若き青年だ。
『綺麗にしてやるからなぁ。』
ニコニコしながら、バイクに語りかける男…修司。
:13/09/07 22:27 :au/KC4A :☆☆☆
#8 [狂志郎]
ツカ…ツカ…ツカ…。
硬い靴の音が響いたかと思い、修司が振り返ると、そこには無羅が立っていた。
『修司、お前は幸せか?』
無羅からの突然の質問だった。
『いや…、幸せかどうかは、わかんないっすけど…。』
戸惑いながら修司は、答えた…。
:13/09/07 23:06 :au/KC4A :☆☆☆
#9 [狂志郎]
すると無羅は、ニヤリと頬を緩め、次第に高らかに笑い始めた。
『ハ…ハハハ…ハハハハハハハ…』
ほんのりと、目に涙が滲むほどに笑う無羅を見て、唖然とする修司。
『無羅さん…、何かあったんですか…?』
修司の言葉に、笑いを止めた無羅。
『なぁ修司、俺達人間は幸せになりたいと思いながら生きてる…、だが実際、幸せってもんが何なのかは、わからねぇ〜もんだと思わないか?』
メンソールの煙草に火を点けながら修司に語り始めた。
『修司は趣味のバイクに触る仕事をして、結婚して、子供もいる…、普通に見りゃ幸せな人生と思われるんだろうが、修司自身は幸せかどうかもわかんねぇ〜。』
そう言うと、再び笑い始めた…。
:13/09/07 23:17 :au/KC4A :☆☆☆
#10 [狂志郎]
無羅と修司は、中学時代の先輩後輩の間柄で、修司の憧れの存在が無羅だった。
修司は、趣味のバイクを売ったり修理をしたりといった仕事を始め、今では小さな店を構えている。
一方の無羅は、毎日を適当に暮らす日々を送り、収入はと言えば、暴力団からの依頼で、借金の取り立てや、人探し等をした報酬であった。
:13/09/10 01:31 :au/KC4A :☆☆☆
#11 [狂志郎]
修司が憧れていた頃の、男気溢れる無羅の姿は、すでに失われつつあった…。
そんな無羅の姿を見て、修司は、いつも淋しさを感じていたのだ。
:13/09/10 01:32 :au/KC4A :☆☆☆
#12 [狂志郎]
とっさに修司は、無羅に語り出した。
『無羅さん…、やっぱり暴力団と関わるのは、止めましょう…。』
少し震えながら、無羅を見てみると…。
高らかに笑っていたはずの無羅の目からは、涙が流れ落ちていた…。
:13/09/10 01:35 :au/KC4A :☆☆☆
#13 [狂志郎]
『なぁ…修司。』
淋しそうな顔で、無羅は言った…。
『お前には、今の俺が、どんな風に映ってるんだ…?』
そう言うと無羅は、おもむろに修司の店にある、木製の3人座りのベンチに腰を下ろした。
:13/09/10 01:37 :au/KC4A :☆☆☆
#14 [狂志郎]
修司は、少し戸惑いながらも…。
『悲しく見えます…、無羅さんが、悲しく見えます…。』
その時だった…。
ガラッ
修司の店の戸が開き、大柄の男が2人、入って来た。
そして、その内の1人が、無羅を見て…。
『やっぱりここに居たのか。』
ニヤリと笑いながら、無羅の方へと近づく…。
:13/09/10 01:41 :au/KC4A :☆☆☆
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