おまえとおれは赤の他人で

「あー、大丈夫です、そのままゆっくりしててください」
また無理やり座らされると、さっとテーブルに料理が乗せられる。
「お腹空きましたよね？飯にしましょう」
ご飯と味噌汁、それに煮物と唐揚げ。
贅沢なごはんを毎日食べてるんだな

「これ、作ったの？」
「煮物は母親が送ってくれて、唐揚げだけ揚げずに作りました」
自信満々にいうのを見て笑がでてくる

「なんで笑うんですかー、食べましょ」
2人で飯を食べて、くだらない話をする
「こんなに話したの初めてじゃないですか？」
「んーそうかもしれんな」
最近、変わらない毎日同じ事の繰り返しで
その日はすごく新鮮であいつの事が少し分かったような気がした。

それから、また変わりない日々が続く
あいつは夏休みがはじまりサークルを始めたそうだ。

「最近、お金がすぐ飛んで行っちゃうんですよね」
「あそびすぎだろ、」

「藤崎さんってあまり遊ばないんですかぁ？」
最近夏休みがはじまり新しく入ってきた、前田さんは可愛く人懐っこい子であいつに好意をもっているようだ。
なぜわかるかって、相談されてるから

「俺かぁ、俺はたまーに遊ぶよ」
たまに遊ぶと言っても一人遊びなわけで友達なんでみんな学生で楽しく過ごしてて、
いいなーって思うよ
「えー、そうなんですか？じゃ、今度俺と遊びましょーよ」

「なんで、お前と遊ばないといけないんだ」

「なんですかそれぇ！つめてえー」

くすくすと前田さんが笑う

その日の帰り、次の日がたまたま同じ休みだったのであいつの部屋に行くことになった。

「明日遊びません？今日泊まって行っていいですよ？風呂先入ります？」
なんて何度も何度も質問ばかり、
泊まるも何もメシを食べに来ただけで泊まる気なんでさらさらない。

「今日は帰るよ、迷惑かけるし」
そういうと、風呂の用意をしていたあいつがドタバタと俺に近づいてきた。
「今日は飲みましょ！俺酒買ってくるんで待っててください」

そう言うとすぐに外に出て行く
なんか毎回同じパターン
勝手に決めるあいつの性格

何度か家に来て、ゆっくり話すたびあいつの事がわかってきた。
部屋では常に眼鏡をかけ、暑いからとパンツとタンクトップだけで過ごす。

部屋にある人形はUSOキャッチャーが好きで、取ったものばかり
基本的に可愛いもの好きで小物を飾りたがる。

漫画はよく読むみたいだか、人には読ませたくないらしく読ませてくれない。

部屋にいる時はいつも音楽をかけて鼻歌を歌っている、まぁ音痴だが

「買ってきました！」
「ありがとう？その前に風呂入ってもいいかな」

「どうぞどうぞ、パンツは俺の使ってもらっていいんで！」

風呂から上がるとビールとつまみが用意されていた。あいつは先に飲んでいたのか少し顔が赤い。

「我慢できなくて、先飲んじゃいましたよー」
へらへらと笑いながら、酒をついでくる。こいつは気がすごくきくやつで、年上からすかれるからなぁ

「乾杯！」

酒を飲むのが久しぶりなせいか
いつもより酔いがまわるのが早い
顔には出ないがフラフラだ

「藤崎さーん、ふらふらしてますよぉ。大丈夫ですかぁ？」

「だいじょうぶ」
大丈夫なのか、目が自然とつむってしまう。寝てしまいそうだ

「寝るならベッドで寝てくださいねぇ？床じゃからだ痛くなりますよー」

大丈夫大丈夫と2人して酒をのむ

気づくと部屋は真っ暗、どうやら寝てしまったようで。上半身を起こすがまだ酒が抜けていないようだ

「ん？、、、起きました？」
「起こしたかすまん、電気つけてくれないか？」

パチッー

電気をつけるとおれとあいつはベッドの上にいたわけで、お互いパンツ一枚で寝ていたようだ

そんなに飲んでないのに、かなり酔ったんだな。トイレを済ませベッドに戻る
あいつは眠たそうに目をこすりながら、テレビをみる

「電気消していいか？」
「あー、お願いします」

部屋の中はテレビの明かりだけ
時間は深夜の2時、通販番組を見ながら「俺これほしいーです！」なんて言ってるあいつが隣にいた