Time Phone 〜あの日へ繋がる電話〜
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#1 [メリア] 13/11/26 02:31
読んで頂けたらうれしいです。
#31 [メリア]
なぜそうしたのかはわからない。
なんとなくとしか言いようがない直感であの例の黒い携帯を取り出して
眺めていた。
交番に届けるのは明日になりそうだ、
でも明日は大事な会議が入っていたっけ
はやく帰れるだろうか。
そんなことを考えていた矢先、
またあの無機質な着信音が鳴った。
心臓もその音と連動するように
どくり、と鳴ってはやくなっていくのがわかった。
携帯を持つ手が少しだけ震える。
いや、勘違いだって言ってたじゃないかこんな緊張する必要ないじゃない。
きっと今度は持ち主からの電話かも。
なら出てあげたほうがいいじゃない。
きっと向こうも困っているだろう。
:14/01/12 00:07
:iPhone
:1EyiFO2k
#32 [メリア]
そう言い聞かせるような言い訳がましい言葉ばかりが頭に駆け巡る。
迷ってるなら出たほうがいい!
そう思い立ち、覚悟を決めて通話ボタンを押した。
「………も、しもし」
「えー……あーー………
……………。葉月さんですか?」
向こうから響く声にまた心臓がなる。
手のひらに汗が滲むのを感じた。
「はい。そうです。そちらは、清浦さんでしたよね?」
「あ、はいそうです」
「さっきはすいませんでした。
急に切ってしまって……」
「いえ、それは大丈夫です!」
いつも仕事でするように機会的に
やり取りをする。それでもその声は
やっぱりあの人に似ている。勘違いなどではすまされないほどに。
:14/01/12 00:16
:iPhone
:1EyiFO2k
#33 [メリア]
○清田
×清浦
です。すいません。
:14/01/12 00:19
:iPhone
:1EyiFO2k
#34 [メリア]
「この携帯、松浦葉月さんのものなんですよね?そこに松浦さんいらっしゃいますか?」
「あ、そのことなんですけど……。
本人に確認してみたらちゃんと携帯持ってたんですよ」
「え、じゃあこの携帯松浦さんのものじゃなくて勘違いだったってことですか?」
「いや、それがですね、俺の携帯になぜか松浦葉月の携帯番号が2つ入ってまして。番号は全然違うんですけど、松浦葉月の名前で入ってたので間違ってかけちゃったみたいなんです。でも
昨日まではそんなのなかったし、
登録した覚えもなくって……。」
「はぁ……」
結局この携帯は松浦葉月さんのものではないということでいいのか?
にしても不思議なことがあるものだ。
「それにしても偶然ですね。間違ってかけた携帯が落し物で、拾い主と名前が同じだなんて……」
「あ、そうですね。」
たったいま思っていたことを清田さんが口にした。でも私が不思議に思っていたのはそれだけじゃない。
『松浦』は、私の結婚する前の姓だ。
そして『清田圭吾』は私が高校時代つきあっていた男性だ。こんな偶然があるのだろうか。
:14/01/12 13:14
:iPhone
:1EyiFO2k
#35 [メリア]
偶然?…………本当に偶然?
また心臓がどくりと音をたてる。
「そのせいで彼女とも喧嘩になっちゃって……携帯にかけたら知らない女の人が出た、って言っただけなのに浮気疑われたんですよ?ひどいですよね」
清田さんがそう話した瞬間、
さぁっとなにかが引いていくのが
自分でもわかった。
だって、知ってる。
その話知ってるよ私。
「……松浦さん、近くにあった
イルカのクッションをあなたに投げつけたでしょう?」
「え?……なんで知ってるんですか?」
「そのクッション、今も私が持ってる
からですよ。大分色褪せましたけど…」
:14/01/12 13:21
:iPhone
:1EyiFO2k
#36 [メリア]
「え、すいません、言ってる意味が…」
「やっぱり……圭吾なんだ……。」
はーっと思い切り息を吐き、ソファに体を沈める。もう認めるしかない。
ありえないけど、そうとしか考えられない。だってわたしの記憶にあるんだから。この清田圭吾が語るエピソードが。
「圭吾、いま高校生なんだよね。私は
7年後の松浦葉月だよ」
「………はぁ?何言って……。」
そこで圭吾の声が止まる。
さっきからの会話と朝の会話を思い返し全く的外れではないかもしれないと思ったのかもしれない。
私だってまだ信じられないよ。
「………葉月の誕生日と血液型は?」
「7月14日のO型」
「好きな食べ物は」
「紅しょうががたっぷりのった焼きそばちなみに嫌いな食べ物は納豆ただし
納豆汁はかろうじて飲める」
「俺との出会いは?」
「高校はいって席が隣で話すようになった。勉強を教えるようになってから仲良くなっていった。」
:14/01/12 13:33
:iPhone
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#37 [メリア]
そのあともいくつもの質問がされる。
初デートの場所や一年記念日でもらったプレゼントのこと。本人にしか知り得ない情報を共有しあって質問に答えている私もやっぱりそうなんだ、と
改めて実感した。
「ま、マジで葉月なんだ……。」
「みたいだね。」
「でもなんでこんなこと起きたんだ?
タイムマシン……じゃねえけど似たようなもんだろ?未来と電話繋がるなんてさ」
「私からしたら過去だけどね」
「まぁそーだけど。7年後ってことは
いま葉月25歳くらいか?」
「そうだね」
不思議な感覚だ。
まるで高校生に戻ったみたい。
跳ねたような声。
すぐそばに圭吾がいるような錯覚に陥る
:14/01/12 22:17
:iPhone
:1EyiFO2k
#38 [メリア]
「てゆーか圭吾すごく冷静だね。
普通こんなことすぐ信じられないよ。
あたしだって信じられなかったし」
「まーそりゃそーだけど。飲み込み早いからさ俺って。」
「使い方違うよもう。圭吾って本当
バカだよねー…」
「うるせーなあ!……じゃあさ、
未来の俺はもうバカじゃねーの?」
そう問われた瞬間、急に自分が
置かれている状況がひどく危ういものだということに今更ながら気づかされた。
「……圭吾のとこって今、何月何日?」
:14/01/12 22:24
:iPhone
:1EyiFO2k
#39 [メリア]
「あ?11月16日。受験勉強に追われる
毎日だよ本当。覚えてるか?」
受験勉強………11月16日。
ということは……。
あと4ヶ月後、私たちは別れる。
そうか。こういうことなんだ。
未来と過去が繋がるって。
圭吾が知らないことを私は知っている。
あの時私が知り得なかったことを
私は知ることができるかもしれない。
一緒に勉強頑張ろうね、って言った。
そんなあなたが突然あんな言葉を告げた意味が考えても考えてもずっとずっとわからなかった。
知ることができるかもしれない。
この、過去に繋がる電話で。
知りたい。
ちゃんと知りたい。
そうすれば、進めるかもしれない。
雨の日が好きになれるかもしれない。
:14/01/12 22:38
:iPhone
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#40 [メリア]
-3- It can obstacle to like
:14/01/12 22:44
:iPhone
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