冷めた身体
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#320 [主]
冷たい
冷たい
感覚が
身体を覆い尽くす。
今夜は外も
寒いからかな。
「着いたよ」
車を停めた雅樹は
一言残し
車を出る。
「…身体‥か。」
:06/11/26 22:11 :V703SH :deuPE37A
#321 [主]
虚しくなった。
愛じゃなかった?
温もりは
なんだったんだろ。
でもいい。
今まで雅樹を苦しめた分
あたしの身体で埋められるなら。
:06/11/26 22:15 :V703SH :deuPE37A
#322 [主]
ガチャ
外から助手席のドアが開けられた。
「唯ちゃん‥」
差し出される手を
握った。
手を引かれ
無言のまま
ホテル内に入る。
カツカツカツって
あたしのパンプスの音だけが
響いてた。
:06/11/26 22:18 :V703SH :deuPE37A
#323 [主]
自動ドアが開くと
暖かい空気に包まれる。
雅樹が部屋を選んでる時も
エレベーターに乗り込む時も
あたしはずっと下を向いてた。
何かを考えてた訳じゃない。
ただ
すごく
身体だけが冷たかったんだ。
:06/11/26 22:23 :V703SH :deuPE37A
#324 [主]
部屋に着いたらしく
雅樹がドアを開ける。
ためらう事なく
あたしも中に入る。
「唯ちゃん
こっち来て」
スリッパに履き代えて
あたしは雅樹の背中を見る為
顔を上げた。
なんかこの部屋‥
めちゃくちゃ広い。
:06/11/26 22:27 :V703SH :deuPE37A
#325 [主]
ドアを一つ開けると
部屋の片面が
全部‥窓?
なんてゆ-の?
とにかく
景色が一望出来る様になってた。
あたしは言葉を失った。
「唯ちゃん
綺麗なの
好きだもんね」
雅樹が優しく
髪を撫でた。
:06/11/26 22:32 :V703SH :deuPE37A
#326 [主]
ぶわって
涙が。
よくわかんない。
嬉しいんじゃない。
悲しいんじゃない。
寂しいんじゃない。
雅樹
ごめんなさい。
傷付けて
ごめんなさい。
:06/11/26 22:34 :V703SH :deuPE37A
#327 [主]
「あ-あ
泣いちゃッた笑」
髪を撫でる掌は
やっぱり雅樹で
自分だって泣きそうな顔してるくせに
あたしを想って笑う所も
やっぱり雅樹で
どこまでいっても
雅樹は雅樹で
ほんと
あったか過ぎるよ。
:06/11/26 22:37 :V703SH :deuPE37A
#328 [主]
「唯ちゃん?
俺さ-唯ちゃん好きになれて良かったな」
「‥ヒクッ‥」
「俺みたいな男でも
ちゃんと人をさ-好きになれるって分かったから」
「‥ズッ‥ぅん」
「いっぱい悩ませてごめんね」
首を横に振った。
悩ませたのは
どっち付かずだった
あたし。
:06/11/26 22:42 :V703SH :deuPE37A
#329 [主]
「この景色‥
唯ちゃんに見せたかったんだ」
「‥ヒクッ‥前に‥誰と来たんだよ」
「‥あ゙。」
「ぷッ(笑」
分かってる。
分かってるよ。
わざとそ-やって
言うの。
優しい雅樹の癖だもん。
:06/11/26 23:02 :V703SH :deuPE37A
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