――CHANDAN。

　　

「最低。本当ごめん」

波は頭を抱えて
その場にしゃがみむ

「気まづい思い・・
させちゃったな・・」

由美子は頷く。

本当は今日
うちに泊めて
改めて彼女だって
紹介したかったのに

　　

「・・帰る。」

由美子は立ち上がり
服を着替え始めた

「もう帰んの？」
波は由美子を見た。

由美子は頷く。

「まだいーぢゃん。」
波は由美子を
抱き寄せた。

「やだｯ!!!!!」
由美子は
波を押し退けた。

波は無理矢理
由美子を抱き寄せる

　　

抵抗する由美子。
その唇に無理矢理
舌を捻り込ませた。

由美子は嫌がり
両手で波の肩を叩く

由美子の足が震える

波ははっと
我に返った。

　　

由美子の目は
涙でいっぱいだった

「・・・!!」
気が動転して
上手く言葉が出ない。

「なっちゃん・・・
私の事・・」

由美子は
ひとつ間をおいた。

「・・・嫌い？」

その言葉が
ずっしりと重く
波の心臓に
のしかかった。

　　

「は?!んな事ある訳
ねーだろｯ!!!」

波の大きな声に
由美子の肩が
ﾋﾞｸｯと上下する。

「怖い・・」

波は戸惑い
頭をかきむしった。

「・・ごめんね?
俺は絶対由美の事
嫌いなんかぢゃ無い
嫌いなんてなれない」

由美子の頬からは
まだ涙が溢れている

　　

「無理矢理ﾁｭｰとか
無理矢理したりとか
そんな事・・・
前は無かったﾓﾝ・・」

「・・・そうだよね。
傷つけちゃったね・・
俺最低だよね。
本当ごめんね・・・」

波はそう言って
由美子の前に
座りなおした。

「・・やだ。」

「ん・・・?」

「なっちゃん・・
すぐ謝る・・・・」

　　

「・・・・」

ぢゃあどうすれば
由美子は泣きやむ？

喧嘩なんてしたくない

辛い顔は見たくない

ただ一緒にいたい

ただ一緒に

笑ってたいだけなのに

　　

「・・・ごめん。」

波は心の言葉を
押し殺して
笑顔を作った。

だがいつものように

上手く笑えない

「お邪魔しましたっ」

由美子は涙を拭って
部屋を去った。

波は溜め息をついた

　　

何で今日
泊まりだったのか

由美子は忘れたの？

明日は俺等の
記念日なのに・・・

「最悪過ぎ・・・」

波は鞄から包み紙を
取り出した。

ｻｲｽﾞ合ってるかな？

気にいってくれるかな

２人でいる時に
こっそり買った
ﾍﾟｱﾘﾝｸﾞ。

　　

明日渡したかったな

そういえば俺等

今まで喧嘩した事
1度も無かったね。

「どうすりゃ
良いのかな・・・」

波は包み紙を
見つめて

涙をこらえた。