『異常』━『先輩』
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#14 [正常]
だが、大きく開いた表入口から堂々と入るのは、何と言うか、危険な気がした。第一、潜入というのは他人にばれずにこっそりと入ることである。
よって僕は裏から回って、そこに自転車を停めてから廃工場へ入ることにした。

⏰:06/06/12 06:24 📱:SH901iS 🆔:pJ/IdemI


#15 [正常]
裏口の鍵は掛かっていなかったため、安易に潜入することが出来た。

廃工場の中は薄暗く、何に使っていたのか分からない機械が所々に設置されていた。

僕はスパイにでもなった気分で、機械等の物影に隠れながら前進していった。

いくらか進んでいくと、広場のような所が見えた。そこには機械が設置されていないで、自由に人々が行き交える様になっている。

そして僕から真っすぐ奥を見ると、四角い入口がぽっかりと開いていた。

外からでは暗くて見えなかったが、どうやら表入口のすぐにこの広場があるらしい。

⏰:06/06/12 06:43 📱:SH901iS 🆔:pJ/IdemI


#16 [正常]
僕は古錆びた機械に隠れながら、先輩を捜す様に広場の周囲を見渡した。しかし薄暗い闇が邪魔して、先輩の姿を確認することが出来なかった。

けど、何故だか分からないが、『何か』がこの広場のどこかにいる気配を感じた。

⏰:06/06/12 19:22 📱:SH901iS 🆔:pJ/IdemI


#17 [正常]
僕は少しの間その場で待機することにした。

あまりの静けさに、この世から音が消されたのかと思った。

数分経過したが、何も起こらない。

僕は次第に不安を感じた。
先輩がいるとしたら、少しくらい物音がしても良いはずだ。なのに無音状態が続いている。

僕の感じた気配はただの思い違いだったのだろうか。
僕はそう考え、小さな溜め息をついたその時である。

⏰:06/06/13 06:18 📱:SH901iS 🆔:jndqux2Q


#18 [正常]
車の走行音が聞こえてきて、その音がこの廃工場に近いてきた。

どうせこの工場を横切るだけだろうと僕は思った。だが、その車の走行音は弱まり、廃工場の敷地内へと入ってきたのだ。

表入口から二つの眩しいヘッドライトが廃工場の中を照らした。

⏰:06/06/13 21:14 📱:SH901iS 🆔:jndqux2Q


#19 [正常]
僕は車の出現に驚いたが、それよりも明るくなったこの広場に先輩がいるかどうか、周囲を見回して確かめた。

僕から見て、約十メートル離れた所の左側に先輩はいた。後ろにある機械に寄り掛かりながら、少し顔を車の方に向けていた。

やはりあの気配は思い違いではなかった。

⏰:06/06/13 23:13 📱:SH901iS 🆔:jndqux2Q


#20 [正常]
やがて、ヘッドライトがついている状態で車のエンジンが止まり、運転手がドアを開けて出てきた。

運転手は男性で、片手にはコートを持っていた。

その男性は一歩ずつ足を運び、工場内に入ってきた。普段は気にも止めない足音でも、ここでは騒音のように聞こえた。

男性は歩くのをやめ、先輩と向き合った。

車のライトが、二人の横の姿を影にして写し出した。

⏰:06/06/14 20:34 📱:SH901iS 🆔:kQuxGO6I


#21 [正常]
少しの間、沈黙が続いた。
「お久しぶりですね。」

最初に沈黙を破ったのは先輩だった。

「そうだな。」

後から男性の声が聞こえた。

「驚きましたよ。柊さんから俺にメールを送るなんて、滅多にないですし。」

先輩のその言葉で、男性の名字が柊ということが解った。

「突然こんな場所に呼び出してすまない。」

柊という男性の声は少し鋭い感じだった。

「別に構いませんよ。俺も暇でしたし。そんなことより、話とは何ですか?」

先輩が尋ねた。

⏰:06/06/15 00:32 📱:SH901iS 🆔:5ry/fRXU


#22 [正常]
「…頼みたいことがあるんだ。」

僕は柊の声が次第に暗くなってゆくのを感じた。

「柊さんが俺に何か頼むなんて珍しいですね。」

先輩の声は、ずっと変わらず平淡だ。

「……………。」

柊はしばらく黙り込んだ後、ゆっくりと口を開け、こう言った。





「君の手を譲ってほしい。」

⏰:06/06/15 22:33 📱:SH901iS 🆔:5ry/fRXU


#23 [(・∀・)]
主続きが気になる!!書いてくれ〜

⏰:06/06/16 23:28 📱:W21SA 🆔:aJV2E09g


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