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#245 [can]
 
自然と涙が溢れる。

鼻水だって垂れそう。

だけど
物音立てると
気付かれるって気持ちが
私をもっと弱くする。

今、私がいる事が
耕ちゃんにバレたら
きっと嫌われる。

そんな気持ちで
いっぱいいっぱいだった。

⏰:07/02/14 20:00 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#246 [can]
 
―――

あの日以来
私は耕ちゃんと
上手く接する事が
出来なかった。

メールや電話は全て無視。

学校で話しかけられても
よそよそしい態度。

そんな自分が
大嫌いだった。

⏰:07/02/14 20:05 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#247 [can]
 
そんな私だけど
耕ちゃんは私を
見放したりしなかった。

一日一回必ず、
学校で話しかけてくれた。

食堂で出会うと
『莉奈〜!
カレーパンおごって』
…とか。

休み時間出会うと
『大富豪やんない?』
…とか。

⏰:07/02/14 20:09 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#248 [can]
 
くだらない事だし
私を妹ぐらいにしか
見てないんだろうけど
そうやって
優しくしてくれる
耕ちゃんを
嫌いになるどころか
益々好きになっていった。

⏰:07/02/14 20:10 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#249 [can]
 
―――

あれはとても寒い、
ある三学期の事。

もうすぐ3年は
卒業だから
学校も卒業ムードで
いっぱいだった。

耕ちゃんが卒業する事が
すごく寂しかった。

だけど素直になれず
あの日からの態度は
変わらないまま。

⏰:07/02/14 20:13 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#250 [can]
 
そんな私に
耕ちゃんは限界
だったのかも。

二時間目が終わり
休み時間になった途端
耕ちゃんが私の教室に
入って来た。

耕ちゃん『莉奈!
三時間目サボるぞ。
ちょっと来い』

そう言って私の腕を
引っ張った。

⏰:07/02/14 20:18 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#251 [can]
 
莉奈『え!?
耕ちゃんどうしたの?』

耕ちゃんは
私の話も聞かないで
腕を引っ張りながら
誘導するだけ。

ガチャッ―――

ついた先は屋上だった。

嫌な思い出の場所に
耕ちゃんに
連れて来られるなんて
想像もしなかった。

⏰:07/02/14 20:21 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#252 [can]
 
莉奈『寒い…』

風が強くて冷たくて…
耕ちゃんの顔も
いつもと違って
何だか少し恐かった。

耕ちゃん『座ろう』

耕ちゃんが指差した所…

こないだ女と
ヤッてた所だった。

⏰:07/02/14 20:49 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#253 [can]
 
莉奈『うん』

嫌だなんて
言える訳ないから
私は嫌々そこに座った。

耕ちゃん『莉奈』

莉奈『ん?どしたの?』

耕ちゃん『卒業やだよ』

急に耕ちゃんは
甘えて来た。

いつもと違う耕ちゃんに
戸惑いを隠せなかった。

⏰:07/02/14 20:58 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#254 [can]
 
莉奈『仕方ないよ』

耕ちゃん『寂しいな』

莉奈『高校行くの?』

耕ちゃん『うん』

莉奈『頑張ってね』

耕ちゃん『うん』

耕ちゃんは
本当に寂しそうだった。

切ない笑顔が
私の胸を締め付けた。

⏰:07/02/14 20:59 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


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