ｓtｒiｐ

　
『あ、莉奈さん！』

…え？

聞き慣れたあの声。

見慣れたあの顔。

莉奈『…司？』

　
司『こんばんは！』

初めて見る私服姿。

すごく驚いた。

いつもの制服と
全然違う雰囲気だから
別人にあったみたい。

だけど笑顔は
いつもの笑顔。

莉奈『奇遇だね…』

　
少し戸惑いながらも
話しかけた。

司『二人とも今から
お出かけですかー？
綺麗な服ですね』

亜由美『ちょっと
パーティーにね』

司『パーティー？
すごいな！』

亜由美『別にすごく
ないよ？乱パだもん』

　
莉奈『あ…』

司『らん…ぱ？』

司は意味がわからない
と言う顔をしている。

莉奈『違うの…えっと…』

いいわけしようと
思ったけど
すでに遅かった。

亜由美『乱交パーティー。
ほら！準備万端っしょ？』

　
そう言って亜由美は
手に持っていた
ｺﾝﾄﾞｰﾑの箱を
司に見せ付けた。

司『あ…えっと…
楽しんでくださいね』

少し気まずそうに
笑った司。

亜由美『うん！』

　
亜由美はﾆｺｯと笑った後
ｼﾞｭｰｽを選び始めた。

司の方をﾁﾗｯと見ると
目が合った。

反らす事ができなくて
数秒間は目が合ったまま。

乱パなんて
本当は行きたくないの。

そんな気持ちを
沈黙の会話として
伝えたかった。

　
司には
この気持ち届いたかな？

どうしてだろう。

司に知られるのが
嫌だった。

どうしてだろう。

司の事が好きだとか
そういうんじゃないのに
すごく嫌。

どうしてなのかな…

　
亜由美『莉奈は？』

亜由美の明るい声で
二人は目を反らした。

莉奈『え？あ…紅茶
取ってくれる？』

亜由美『は～い』

亜由美にｼﾞｭｰｽを
取ってもらい
ｺﾝﾄﾞｰﾑとｼﾞｭｰｽを
手に持ってﾚｼﾞに向かう。

　
亜由美『つかっちゃん！
私おごったげるから
持ってきなよ』

ﾚｼﾞ近くで亜由美が
司に向かって叫んだ。

司『え？いいっすよ』

亜由美『早く持ってこい』

司『…いいんですか？
ありがとうございます』

　
司は亜由美の方に
近寄って行った。

ｼﾞｭｰｽやｶﾞﾑなどが
ﾚｼﾞ台に置かれた。

亜由美が司の分を
支払う。

司『亜由美ｻﾝ…
本当にいいんですか？』

亜由美『いいよ～
今日は気分いいしね』