ｓtｒiｐ

　
そして
連絡先を交換した。

莉奈『入ろっか』

扉を開けようとする私に
剛は眉を下げて
笑いながらこう言った。

剛『帰るわ…
もうﾄﾗﾝｽ無理だし…』

莉奈『え！？マジ？』

剛『悪いけど裕也に
言っといてくんない？』

　
莉奈『…うん』

剛『じゃあまたな！』

そう言って剛は
駐車場の方に
歩き去って行った。

私は仲間がいなくなった
気分で仕方なかった。

扉を開けて店に入る。

ﾄﾗﾝｽに耳を壊されながら
亜由美のいる所に
戻った。

　
莉奈【ごめん。
外にいた。剛は帰った。
裕也ｸﾝに伝えて】

また携帯電話の画面での
会話が始まった。

亜由美【了解】

―――

しばらくして
亜由美が画面を
見せてきた。

　
亜由美【酒が回って
きたみたいだから
私と裕也ｸﾝは
部屋に向かうね】

部屋とはSEXをする為に
設けられている所。

莉奈【うん】

亜由美と裕也ｸﾝは
ｶｯﾌﾟﾙみたいに
仲良く手を繋ぎながら
行ってしまった。

　
一人ぼっちになると
すぐに男が
近寄って来た。

ヤろう。

口の動きで
そう言ったのが
わかった。

首を横に振ると
男はすぐに
どこかに行った。

乱パなんて
そんなもんだよね。

　
…やっぱ無理だ。

耐え切れなくなって
私はまた店の外に
飛び出した。

この静けさには
心癒される。

…もう帰ろうかな。

亜由美には
悪いと思ったけど
先に帰る事にした。

　
そしてﾀｸｼｰを拾い
寮に帰った。

莉奈『ﾊｧ…』

ついつい溜め息が出た。

…亜由美はすごいよ。

あんな場所
やっぱり私には
合わなかった。

　
その日は
司と言う優しい年下と
剛と言う同じﾀｲﾌﾟの年上
二人に
胸が締め付けられた。

…恋？

違う。

ただ私と言う人間を
認めてくれついるような
嬉しさだと思う。

私は…
もう恋なんてしない。

　
翌朝に亜由美は
帰って来た。

先に帰った事については
少し怒られたけど
無理矢理だったかな？
ごめんね。
…と心配してくれた。