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#240 [can]
 
男は女に言葉攻めする。

聞いていると
呆れてくるから、
私は漫画をもう一度
手に取り
読もうと思った。

今、私が出ていくと
気まずくなるから
いないフリをしようと
そう決めた。

⏰:07/02/14 19:48 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#241 [can]
 
女『アッ…こう…気持ちい』

…こう?

その言葉に私は
すぐに反応した。

もしかして耕ちゃん?

そう言えば
耕ちゃんの声に
似てるかも…

好きな人の声にも
気付かないくらい
私は
ボーッとしていたのだろう。

⏰:07/02/14 19:50 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#242 [can]
 
本当は見たくないけど、
私はゆっくりと
壁から顔を出した。

…嘘。

そこにいたのは
初めての恋の相手。

やっぱり耕ちゃんだった。

私は抜け殻のように
耕ちゃんを見つめた。

ただ気持ちよさそうに
腰を振る耕ちゃんを…

⏰:07/02/14 19:52 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#243 [can]
 
見たくないけど
女の人に目が勝手に行く。

大きな胸だった。

きっと耕ちゃんとタメ。

中3のくせに
あの胸はズルいよ。

私は
自分が恥ずかしかった。

胸が小さい上、
根が生えたように
その場所から動けない。

⏰:07/02/14 19:55 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#244 [can]
 
私は弱虫なのかな?

ギュッと目をつぶり、
顔を反らした。

女『アッ…耕ッ』

男『ヤベ…締まる…ウッ』

聞きたくない。

好きな人が知らない女と
ヤッてる所なんて
見たくない。

私は目を閉じて
耳を塞いで俯いた。

⏰:07/02/14 19:57 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#245 [can]
 
自然と涙が溢れる。

鼻水だって垂れそう。

だけど
物音立てると
気付かれるって気持ちが
私をもっと弱くする。

今、私がいる事が
耕ちゃんにバレたら
きっと嫌われる。

そんな気持ちで
いっぱいいっぱいだった。

⏰:07/02/14 20:00 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#246 [can]
 
―――

あの日以来
私は耕ちゃんと
上手く接する事が
出来なかった。

メールや電話は全て無視。

学校で話しかけられても
よそよそしい態度。

そんな自分が
大嫌いだった。

⏰:07/02/14 20:05 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#247 [can]
 
そんな私だけど
耕ちゃんは私を
見放したりしなかった。

一日一回必ず、
学校で話しかけてくれた。

食堂で出会うと
『莉奈〜!
カレーパンおごって』
…とか。

休み時間出会うと
『大富豪やんない?』
…とか。

⏰:07/02/14 20:09 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#248 [can]
 
くだらない事だし
私を妹ぐらいにしか
見てないんだろうけど
そうやって
優しくしてくれる
耕ちゃんを
嫌いになるどころか
益々好きになっていった。

⏰:07/02/14 20:10 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


#249 [can]
 
―――

あれはとても寒い、
ある三学期の事。

もうすぐ3年は
卒業だから
学校も卒業ムードで
いっぱいだった。

耕ちゃんが卒業する事が
すごく寂しかった。

だけど素直になれず
あの日からの態度は
変わらないまま。

⏰:07/02/14 20:13 📱:SH901iC 🆔:☆☆☆


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