ｓtｒiｐ

　
剛『剛でいいよ。
莉奈って呼ぶからね』

莉奈『うん…わかった』

剛『隣座りなよ。
見下ろされてると
何か嫌だから』

莉奈『…自己中！』

そう言いながらも
私は剛の隣に座った。

　
剛『俺さぁ
普段こんな所に
滅多に来ないんだよ。
何かめんどくさいじゃん』

莉奈『私もだよ！？
今日はたまたま…
亜由美と裕也ｸﾝは
しょっちゅうらしいけど』

　
それからしばらく
話に華が咲いて
夢中に話した。

剛は一つ年上で
彼女はいないらしい。

私の仕事に対しては
偉いねって褒めてくれた。

剛はいい人だった。

　
♪～…

携帯電話が鳴った。

亜由美からのﾒｰﾙだった。

亜由美【どこにいるの？】

莉奈『亜由美からだ。
そろそろ中戻ろう』

苦笑いすると剛も
苦笑いしながら頷いた。

　
私は立ち上がり
店に入ろうとした。

剛『待って！』

莉奈『ん？』

剛が私を呼び止めた。

剛『連絡先教えて？』

莉奈『あ…うん』

剛『今度二人で
会わない？』

莉奈『…いいよ』

　
そして
連絡先を交換した。

莉奈『入ろっか』

扉を開けようとする私に
剛は眉を下げて
笑いながらこう言った。

剛『帰るわ…
もうﾄﾗﾝｽ無理だし…』

莉奈『え！？マジ？』

剛『悪いけど裕也に
言っといてくんない？』

　
莉奈『…うん』

剛『じゃあまたな！』

そう言って剛は
駐車場の方に
歩き去って行った。

私は仲間がいなくなった
気分で仕方なかった。

扉を開けて店に入る。

ﾄﾗﾝｽに耳を壊されながら
亜由美のいる所に
戻った。

　
莉奈【ごめん。
外にいた。剛は帰った。
裕也ｸﾝに伝えて】

また携帯電話の画面での
会話が始まった。

亜由美【了解】

―――

しばらくして
亜由美が画面を
見せてきた。

　
亜由美【酒が回って
きたみたいだから
私と裕也ｸﾝは
部屋に向かうね】

部屋とはSEXをする為に
設けられている所。

莉奈【うん】

亜由美と裕也ｸﾝは
ｶｯﾌﾟﾙみたいに
仲良く手を繋ぎながら
行ってしまった。

　
一人ぼっちになると
すぐに男が
近寄って来た。

ヤろう。

口の動きで
そう言ったのが
わかった。

首を横に振ると
男はすぐに
どこかに行った。

乱パなんて
そんなもんだよね。