背丈
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#1 [まなか] 07/06/25 09:18
#2 [まなか]
おかあさん。
もう、頑張らなくていいよ。
俺、もう、大丈夫だよ。
ありがとう。
最期まで、ありがとう。
:07/06/25 09:21
:N703iD
:dYxm0isw
#3 [まなか]
エンジン音が辺りを包み込む。
俺は、この、耳を突くような音を愛している。
正規の資格なんて持ってないけれど、このいかついフォルムと、風を切る快感を捨てることは出来ない。
黒い排気ガスを吐き出し、マジェスティが街を切るように走りだした。
:07/06/25 13:09
:N703iD
:dYxm0isw
#4 [まなか]
長い襟足が、風になびいて、アドレナリンが体中を麻痺させる。
前を走るバイクには、一つ年下の牧(まき)と颯太が乗っている。
激しい音が追い掛けてくる白バイを飲み込んで動けなくしている間に、俺たちは闇を走り去る。
:07/06/25 13:32
:N703iD
:dYxm0isw
#5 [まなか]
俺たちは、薄暗く、人通りの少ない路に単車やバイクを止めると、寛貴さんの持ってきた少量の液体入りのビニール袋に口をあてた。
寛貴さんの腕には複数の紫の小さな痣(あざ)が、そんなことはどうでもいい。
俺が勢い良く息を吸うと、頭がぼんやりと、言葉に出来ない感覚に陥った。
:07/06/25 19:35
:N703iD
:dYxm0isw
#6 [まなか]
俺の家は、父もいない、兄弟もいない、祖父母もいない、究極の母子家庭だ。
母は夜の繁華街で見知らぬオヤジたちに媚(こび)を売る仕事をしている。
二年前に一度、寛貴さんに連れられて、風俗嬢を引っ掛けに、繁華街に繰り出したとき、母が脂に額を光らせたオヤジの首に腕を絡ませているのを見た。
:07/06/25 19:43
:N703iD
:dYxm0isw
#7 [まなか]
当時15歳だった俺は、学校の異端児仲間だった颯太に誘われ、三つ上の寛貴さんと出会うと、段々と学校に行かなくなった。
義務教育とは本当に素敵な制度で、腐った脳の政治家達に唯一感謝する賜物である。
その夜、恐る恐る寛貴さんの後を追って歩いた俺だが、何よりその母の姿を見たくなかった。
まだ、15歳で、母が汚いオヤジの耳元を舐めるシーンが、何より恐ろしかった。
:07/06/25 19:53
:N703iD
:dYxm0isw
#8 [まなか]
俺はあの時の、世界の終わりのような感情を今でも忘れない。
母が夜の仕事をしているのは、まだガキの自分を養うためだと、不良心の片隅で思っていたし、母を信じていた。
しかし、もうそれ以来、母に対して「汚らわしい女」と言う視線しか、向けることが出来なくなった。
:07/06/25 19:58
:N703iD
:dYxm0isw
#9 [まなか]
今では、もう、家に帰ることすら、月に数えられるほどしかない。
たまに荷物を取りに帰る俺に、化粧の依れた汚い顔のあの女は、決まってこう言った。
「誰のとこにいるの」
「何をしてたの」
俺は応えず、ただ荷物を纏めると、女に目を向けることもなく外に出た。
:07/06/25 20:06
:N703iD
:dYxm0isw
#10 [我輩は匿名である]
前の作品もよみました!
ここに感想かかない方が
いいかもだけど、主さん
絶対に文才あります!!
すごく続き読みたいです
更新まってますm(._.)m
:08/07/30 06:33
:W61SH
:Y.5Ub98g
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