ぎんいろのおおかみ〈}イラスト付きBL}〉
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#95 [☆Cocomo☆MILK☆]
「いえ…そんな」

彼は自分を食らおうとはしなかった

明日には母を届けた村まで送ると言うが、仮にも自分は生け贄の身

そんな言葉をかけてくれるなんて本当なならあり得るはずがないと思った

「眠いだろう。
…気が休まるとは思わんが…」

「え…、わ…っ」

⏰:07/08/15 21:57 📱:W51S 🆔:☆☆☆


#96 [☆Cocomo☆MILK☆]
セツは輝夜を軽々と抱き上げ、そのまま腰を下ろした

「固い地面よりはいくらかマシだ」


そう言い、自分の腕の中に身を預けさせた輝夜を見下ろして小さく笑んだ

輝夜は突然のことに目を見張り、しかしおとなしくセツに身を預けた

⏰:07/08/15 22:06 📱:W51S 🆔:☆☆☆


#97 [☆Cocomo☆MILK☆]
セツの腕の中にすっぽりと収まる形のまま、そっと胸に顔を寄せた

セツの体温は低く、ひんやりと肌に感じて心地良い

ぱちぱちと小さくなる焚き火の炎を見つめるうちに、まぶたが重くなってきた

「…明日、楽しみだな…」

「ん?」

「母さんに…会える」

⏰:07/08/15 23:00 📱:W51S 🆔:☆☆☆


#98 [☆Cocomo☆MILK☆]
呟いた輝夜の細い肩を、セツはぽんぽんと叩いた

「よかったな。
…きっと会えるさ」

「…ん…」

セツの、囁くように小さく笑った低い声

輝夜はセツのゆっくりした心臓の音や、優しく背を叩いてくれる手のひらに安心し、とうとうまぶたを下ろした

⏰:07/08/15 23:06 📱:W51S 🆔:☆☆☆


#99 [☆Cocomo☆MILK☆]
「…おやすみ、輝夜」

訪れた睡魔に、意識を沈みこませる瞬間優しく暖かい声が耳を掠めた

同時に体を引き寄せられた感覚と、唇に柔らかい感触

ああ、これってキスってやつだ―――――

それは夢の中か現実か

確かめる前に、輝夜は深い眠りに落ちた

⏰:07/08/15 23:10 📱:W51S 🆔:☆☆☆


#100 [椎鑼]
この小説好きです
続きが気になってしかたがありません

⏰:07/08/16 01:08 📱:P902iS 🆔:.PHactME


#101 [☆Cocomo☆MILK☆]
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴|椎鑼さんへ|
ありがとうございます滾Pお見苦しいですが最後まで頑張りますのでよろしくです滾P
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴

⏰:07/08/16 15:48 📱:W51S 🆔:☆☆☆


#102 [☆Cocomo☆MILK☆]
―――――――――――――――

「そんなにウロウロするな」

背中に投げ掛けた声に、俺は振り向き睨みあげた

「っだって…!」

「雨が降っては仕方ないだろう。
お前がうろついたところで、雨は止まない」

「だけど…」

俺はがくりと肩を落とした
待ちわびた次の日。
セツが言うように、洞窟の外は大豪雨

いくら隣村とはいえ、こんな天気の中では連れて行けないとセツが引き留めた

⏰:07/08/16 15:58 📱:W51S 🆔:☆☆☆


#103 [☆Cocomo☆MILK☆]
「せっかく…楽しみにしてたのに…」

とぼとぼと近づき、輝夜はセツの隣に腰を下ろした

「…じき止むさ」

なだめるようにセツの大きな手のひらが頭を撫でる

輝夜はため息を吐き、ふと顔をあげた

―そういえば。

「…あの…昨日…」

「ん?」

⏰:07/08/16 16:02 📱:W51S 🆔:☆☆☆


#104 [☆Cocomo☆MILK☆]
見上げた先に、整った顔

ガラスのような瞳に見つめられ、輝夜はぱっと視線を下げた

「や、やっぱりなんでもない…」

眠りに落ちる間際に触れた唇の感触

夢にしてはやけにリアルで
現実にしてはぼんやりとした感覚

思いだし、カッと頬に熱がこもった

「…すまない。腹が減っていた」

「………え…?」

⏰:07/08/16 16:06 📱:W51S 🆔:☆☆☆


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