ぎんいろのおおかみ〈}イラスト付きBL}〉
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#233 [☆Cocomo☆MILK☆]
苦々しい物を口にしたように顔をしかめるセツ
輝夜は無惨に噛み殺された男を思い出し、顔を曇らせた
―――セツが悪いんじゃない。俺が殺したも同然だ――――
「…………」
くっと唇を噛み締めた輝夜を見下ろしたセツは何も言わず、洞窟の奥へ歩みを進めた
――――――――――――――………
:07/09/01 01:06 :W51S :☆☆☆
#234 [☆Cocomo☆MILK☆]
:07/09/01 01:07 :W51S :☆☆☆
#235 [☆Cocomo☆MILK☆]
―――――――――――――――――…
たどり着いた洞窟の奥
パチパチと燃える焚火の前、輝夜は岩に腰を下ろしたセツに抱き抱えられる形でぼんやりと村での出来事を語りだした
セツが今まで逃して来た生け贄たちは、村人に殺されてしまったこと
自分の母親も殺され――――――そして妖魔であったこと
ぽつぽつと話す輝夜に、セツは無駄に聞き返さず、ただ静かに耳を傾け「そうか」と一言漏らすだけだった
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:07/09/01 08:44 :W51S :☆☆☆
#236 [☆Cocomo☆MILK☆]
「……驚かないの?」
見上げた輝夜に、セツはふと笑みを溢した
「驚いてるさ。
つまりお前にも半分妖魔の血が流れているということだろう?」
「うん…」
ただそう言われただけであり、身体の異変もなければ今までと何ら変わりはない
お前は妖魔の子供だ、と言われたところで輝夜にはピンと来るものがなかった
「セツは…どうやって狼になれるの?」
尋ねた輝夜に、セツは小さく眉を寄せた
:07/09/01 09:03 :W51S :☆☆☆
#237 [☆Cocomo☆MILK☆]
「どうやって、と言われてもな…。
――俺は元々、妖狼の一族だ。
今となっては俺一人だが…。
妖狼の一族は、代々受け継いで来た血で狼や人間の姿に変えられる」
「ってことは…自分の意志で変身出来るってこと…?」
「そうだな。
まあそれなりの代償はついてくるが」
「え?」
:07/09/01 09:07 :W51S :☆☆☆
#238 [☆Cocomo☆MILK☆]
怪訝な表情の輝夜から視線を外したセツは、ゆっくりと口を開いた
「……狼になったり人間の姿になったりを繰り返すと、身体を維持している細胞が追いついていかない。
妖狼の寿命は200年と言われているが…」
「200、年…」
さらりと言われて目を見張る
彼はどれだけの時代の流れを目にしてきたのだろう
たった一人きり、この暗い洞窟で――…
:07/09/01 10:22 :W51S :☆☆☆
#239 [☆Cocomo☆MILK☆]
「…まぁオレも何年生きてきたかハッキリわからないが…変身を重ねる度、寿命が縮まっていくらしい。
……見てみろ」
そう言ってスッと袖を引き上げ腕を出したセツ
「これ…」
差し出された腕の一面には赤いうっ血のようなアザが広がっていた
「…変身した後は必ずアザが蝕んでいる。
最近、狼に姿を変えると痛みが酷くなるんだ」
「そんな…っ!なにか、治す方法は…!」
:07/09/01 10:27 :W51S :☆☆☆
#240 [☆Cocomo☆MILK☆]
声を上げた輝夜に、セツはやんわりと笑った
「これが妖狼の定めだ。
今更変えられるわけじゃない」
「なら、もう狼にならないで!」
じわ、と涙が込み上げるのがわかる
「お願いだから」
いつから自分はこんなにも泣き虫になったのだろう
今まで一人きりで生きてきて、どんな仕打ちにも感情に任せて涙を流すことはなかったのに
:07/09/01 10:33 :W51S :☆☆☆
#241 [☆Cocomo☆MILK☆]
「輝夜…」
「俺、セツに何かあったら…どうしたらいいかわかんないよ!」
自分に強さがあったなら
もしあの時一人で村から逃げることができたのなら
セツは危険を省みず助け出してくれた
それなのに自分の情けなさといったら
自分の身ひとつ守れやしなかった―――
:07/09/03 12:21 :W51S :☆☆☆
#242 [☆Cocomo☆MILK☆]
「俺、強くなる。
セツに守ってもらわなくてもいいくらいに。だから、お願い…もう狼にならないで」
泣きそうな顔の輝夜に、セツの瞳が揺らいだ
「…わかった。なら、オマエも約束してくれ。もう泣かないと」
輝夜の涙を目にする度、セツの心がちくりと痛んだ
もう泣かせたくない
頬に伝った涙を指先で拭ってやり、その細い肩に顔をうずめた
「好きなんだ――――オマエが」
:07/09/03 12:30 :W51S :☆☆☆
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