ぎんいろのおおかみ〈}イラスト付きBL}〉
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#11 [☆Cocomo☆MILK☆]
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何かを成し遂げる
それには見合った代償は付き物だ
――この世は妖気に溢れていた。
各地の至るところには戦いの傷跡が残り
数多くの記録が残されている
人間が刃を向けた相手は〈妖魔〉だった
だが彼らは見た目は一切人と変わらない容姿をしている
:07/08/08 14:14 :W51S :☆☆☆
#12 [☆Cocomo☆MILK☆]
しかし秘められた力は強大であり
妖魔たちが力を誇示していた数年前までは、多くの村や町が破滅へと追い込まれていた
だが時は流れ、今は彼らの大半が姿をみせないようになっていた
:07/08/08 14:16 :W51S :☆☆☆
#13 [☆Cocomo☆MILK☆]
当初は不明と言われていた原因は、最近になり環境の変化ではないかと言われている
人が住みやすいように木を切り倒し
火の代わりに石油を使い
多くの進化を遂げてきた
それが昔からこの世に生を受けた妖魔たちの生態に異常をもたらしたのだ、と
:07/08/08 14:23 :W51S :☆☆☆
#14 [☆Cocomo☆MILK☆]
だが、いまだこの地の奥深い場所では生き延びた妖魔が時々姿を現すと言われている
その妖魔に目をつけられた村は、滅ぼされるか
またはそれなりの対価を支払うことで生きている
――――対価…
村人を生け贄として捧げることで、この村は救われていた
:07/08/08 14:26 :W51S :☆☆☆
#15 [☆Cocomo☆MILK☆]
「失礼します」
そしてこの少年もまた、生け贄になることを命じられた
「入りなさい」
「…はい」
村長の屋敷へと通され、歩みを進める人物
年は16
幼い風貌に似合わぬ寂しげな瞳は見事な蜂蜜色で彩られ、髪は艶やかな栗色をしていた
:07/08/08 14:33 :W51S :☆☆☆
#16 [☆Cocomo☆MILK☆]
だが身に着けている衣服は質素であり、その者があまり裕福な暮らしをしていないことは明白だった
「すまないな、輝夜〈カグヤ〉」
「いいえ」
白髪の村長が、かぐや、と呼んだ少年へと視線を向ける
:07/08/08 14:35 :W51S :☆☆☆
#17 [☆Cocomo☆MILK☆]
輝夜は自分が生け贄えとなる事実を知っても動揺もせず、静かに瞳を閉じた。
周りの者から見ても異質な存在であった少年、輝夜
幼い頃、彼の母親は生け贄となり姿を消した
父はその責任と罪悪感から逃れるように自ら命を絶った
:07/08/08 17:53 :W51S :☆☆☆
#18 [☆Cocomo☆MILK☆]
輝夜は物心ついた時から両親を奪った妖魔が憎かった
いつか殺してやろうと、そればかりを考え育った
世話が必要な幼少期は村長の元で暮らし、すぐ自立した
だがその珍しい髪と瞳の色、そして美しい容姿を村の者は
『まるで妖魔のようだ』
と言い彼を忌み嫌った
:07/08/08 17:56 :W51S :☆☆☆
#19 [☆Cocomo☆MILK☆]
誰とも交流を深めず、信じるものは己のみ
ずっとそうして生きて来た
この村に今は数少ない妖魔が現れたのは数年前
村人も滅多に足を踏み入れない森の奥地に、ひっそりとした洞窟を見つけたのが始まり
:07/08/08 17:59 :W51S :☆☆☆
#20 [☆Cocomo☆MILK☆]
その洞窟の入り口には数日前から行方不明となっていた村の若い娘の亡骸が転がっていた
毎年続いていた天災も、その洞窟を見つけてからはピタリと治まり、村では
『年に一度、あの洞窟に住む妖魔に生け贄を捧げよう』
ということが決められた
:07/08/08 18:01 :W51S :☆☆☆
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