ぎんいろのおおかみ〈}イラスト付きBL}〉
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#144 [☆Cocomo☆MILK☆]
これからお前が母親を守っていくんだぞ、
と柔らかく微笑んだセツに、緩んだ涙腺から再び涙がこぼれそうになる
しかしそれをぐっと押さえ、輝夜はゴシゴシと目元を擦った
「…うん。ごめん。
……セツ、本当にありがとう」
ようやく笑みを見せた輝夜にセツは微笑み、きびすを返した
森の奥へと戻っていくセツの姿
その銀の色が見えなくなるまで、輝夜はずっと見つめていた
:07/08/19 22:26 :W51S :☆☆☆
#145 [☆Cocomo☆MILK☆]
――――――――――――――…
その村は小さく、どこか閉鎖的だった
まだ日も真上だというのに、人の姿は極わずか
ぽつぽつと並ぶ平屋には自給自足であろうそれぞれの畑が耕されていた
(どうしよう…とにかく話を聞かないと)
きょろきょろと辺りを見回しながら歩いていると、
「おや珍しい。今時女が流れ者かね」
後ろ背に声を掛けられ振り向くと、桑を持った初老の男が近づいてきた
:07/08/19 22:52 :W51S :☆☆☆
#146 [☆Cocomo☆MILK☆]
薄汚れた衣服に、伸びきった白髭
腰を下りながらよろよろと歩く老人に、輝夜はあわてて駆け寄った
「あのっ…!すいません、人を探しているんですが…」
口を開いた輝夜に老人は驚いたように目を開いた
「女かと思えば男だったか!いやすまない、お前さんの格好がそう見えてしまってね」
声をあげて笑った老人に、輝夜は思わず自分の羽織に目を落とした
(あ…生け贄の服は女物だからか…)
:07/08/19 23:00 :W51S :☆☆☆
#147 [☆Cocomo☆MILK☆]
山道を歩いたせいで元のように着崩れていたものの、輝夜の身なりは華奢な体つきも手伝って女と間違えられてもおかしくはなかった
「…生け贄は女だけかと思っておったが…」
「…え?」
ぽつりと呟いた声に顔をあげると、老人は目を細め、にっこり笑った
「疲れただろう。
来なさい、うちでよければ休んでいくといい」
:07/08/19 23:07 :W51S :☆☆☆
#148 [☆Cocomo☆MILK☆]
いいながら、老人は小さな平屋へと入っていった
(俺が生け贄って知ってる…もしかしたら母さんのこと、何か知ってるかもしれない)
輝夜はぐっと手のひらを握りしめ、老人に続いた
「ほう。母親を探しにこの村へ?」
「…はい」
:07/08/19 23:09 :W51S :☆☆☆
#149 [☆Cocomo☆MILK☆]
「よくもまあ、こんなさびれた村に来たもんだ」
苦く笑いながら、老人は手にしていた湯飲みに口をつけた
軽く笑い返した輝夜
「…母がこの村にいると聞いて…それで」
「お前さんの母親も生け贄だったのかい」
「はい。ちょうど…13年前に。何かご存じですか?」
身を乗り出した輝夜に、老人は腕を組み天井を仰いだ
「13年前………」
:07/08/19 23:45 :W51S :☆☆☆
#150 [我輩は匿名である]
あげるイ
:07/08/20 11:14 :W44K :Z6ajszfw
#151 [☆Cocomo☆MILK☆]
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
匿名さんあげありがとです(o・v・o)P
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:07/08/20 19:56 :W51S :☆☆☆
#152 [☆Cocomo☆MILK☆]
「……………」
何か思い出しているかのように目を伏せた老人
輝夜はごくりと唾をのみ、言葉を待った
「13年前…確か…あやめ、と言ったかな?」
「!」
口を開き、聞き覚えのある名に輝夜は椅子から立ち上がった
「そう…!あやめです!」
それは間違うはずもない
今は亡き父から聞かされていた母の名だった
:07/08/20 23:27 :W51S :☆☆☆
#153 [☆Cocomo☆MILK☆]
椅子から立ち上がり興奮気味の輝夜に、老人はふと笑みをこぼした
「そうか…お前さん、あやめのせがれかい…どうりで似ていると思ったよ」
「それでっ…あの、母は今どこに…!」
「まあまあ、そんなに気を立てるな。
…あやめは夫がいると言っていたが…」
興奮気味の輝夜を落ち着かせようと、老人は輝夜の問いには答えず、ゆっくり話出した
:07/08/20 23:34 :W51S :☆☆☆
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