ぎんいろのおおかみ〈}イラスト付きBL}〉
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#51 [☆Cocomo☆MILK☆]
:07/08/09 19:12 :W51S :☆☆☆
#52 [☆Cocomo☆MILK☆]
「……ふん」
輝夜の姿を見据えていた妖魔は、ゆらりと一歩近づいた
小柄な輝夜とは歴然とした身長さ
自然と顔を見上げる形となる
「手が震えている」
妖魔は小さく笑った
その言葉通り、輝夜は無意識に握りしめていた手が震えているのに気が付いた
―――俺…怖い、のか…―?
:07/08/09 19:15 :W51S :☆☆☆
#53 [☆Cocomo☆MILK☆]
目の前には両親を奪った憎き敵
殺せずとも傷を負わせるだけでもいいと目論んでいたのに
しかし突然身体を駆け巡った「死」、「恐怖」――――
じわりと汗が滲むのを感じた
ふと、目の前の彼がそっと手を伸ばした
氷のように冷たい指先が頬をなぞる
:07/08/09 19:18 :W51S :☆☆☆
#54 [☆Cocomo☆MILK☆]
ひやりとした感触に、びくりと肩が跳ねた
「俺が怖いか」
心を見透かしたような瞳
輝夜は挑むようにその翡翠の瞳をまっすぐ見つめた
「いいえ」
凛と答えた声音に、ガラス細工のような彼の目が妖しく細められた
「そうか」
:07/08/09 19:21 :W51S :☆☆☆
#55 [我輩は匿名である]
頑張れ(^ω^)
:07/08/09 23:57 :D903i :Vn27077.
#56 [☆Cocomo☆MILK☆]
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴|匿名さん|
ありがとです|今日の夜にまた更新します|
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
:07/08/10 08:21 :W51S :☆☆☆
#57 [早姫]
絵美味すぎ!!!!!
小説の書き方も上手い
です!!!!
コツとかあるんですか??
:07/08/10 08:43 :P702iD :.B/eHAc2
#58 [早姫]
漢字間違えました
「絵美味すぎ」でわなく
「絵上手すぎ」でした(汗
無駄なスペースとってすみません。
:07/08/10 08:46 :P702iD :.B/eHAc2
#59 [☆Cocomo☆MILK☆]
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴|早姫さんへ|
コメありがとうございます|
コツは…ないですホ絵を描く事も、小説を書く事も好きなのですがまだ試行錯誤の連続です咸ホ
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
:07/08/10 12:20 :W51S :☆☆☆
#60 [☆Cocomo☆MILK☆]
:07/08/10 19:53 :W51S :☆☆☆
#61 [☆Cocomo☆MILK☆]
:07/08/10 19:54 :W51S :☆☆☆
#62 [☆Cocomo☆MILK☆]
笑い、彼はそっと輝夜に近づいた
整った顔が近づき、白い首筋へと寄せられる
「…っ」
殺される――
ぎゅっと目をつぶり、痛みを待っていた輝夜の予想とは反し
さらけだした首筋には暖かいものが触れた
「…っん」
:07/08/10 19:57 :W51S :☆☆☆
#63 [☆Cocomo☆MILK☆]
気付けば軽く吸い付き残されたうっ血
そのままゆっくりと体が離れていく
戸惑い視線を向けると、そこには口角をあげ微笑する美しい顔
「オマエ…名は?」
今から殺す者に名前など聞いてなんになるのか
そう思いながら、輝夜は口を開いた
「輝夜…」
「輝夜。…そうか」
● [jpg/23KB]
:07/08/10 20:01 :W51S :☆☆☆
#64 [☆Cocomo☆MILK☆]
確かめるように名を繰り返すと、妖魔は身を翻し、岩肌へと腰を下ろしてしまった
「あ…あの…」
自分に与えられたのは痛みでも恐怖でもなく甘美な痛み
こんなはずではなかった
虚をとられたように戸惑い呼び掛けると、その人は口を開く
:07/08/10 20:05 :W51S :☆☆☆
#65 [☆Cocomo☆MILK☆]
「オレは元から人を食らう習性などない」
「え……?」
聞き間違いか
輝夜は耳を疑った
「そん…な、はずは…」
毎年恒例のように生け贄に出されているものがいるはず
なにより洞窟前で発見された若い娘の亡骸
どういう事だと困惑した輝夜の疑問を感じとり、微かに笑った
:07/08/10 21:31 :W51S :☆☆☆
#66 [☆Cocomo☆MILK☆]
「…洞窟の入り口にあった亡骸は俺の仕業ではない。
熊か何かに襲われたんだろう」
「毎年の生け贄…は…?」
「逃がしている。
この森を抜けた所にある、小さな町へとな…」
生け贄として差し出された時点で、その者の人生は終わる。
:07/08/10 21:34 :W51S :☆☆☆
#67 [☆Cocomo☆MILK☆]
たとえ生き延びたとしても、村の怒りを買ってしまうことは明白だった
それを知っているこの妖魔は、村の者達が足を踏み入れない地まで彼らを逃がし、そこで新たな暮らしをするように言い渡していたと言うのだ
:07/08/10 21:35 :W51S :☆☆☆
#68 [☆Cocomo☆MILK☆]
「そんな…じゃあ…母さん…は……」
――生きている――――?
震えた唇から漏れた声に、妖魔が眉を寄せた
「母さん?」
ドクドクと早い鼓動に耐えきれず、輝夜は彼の元へ飛び付いた
「あの…っ!13年前に、俺の母さんが生け贄にされたんだ!もし…もし何か知っているなら…!」
:07/08/10 21:38 :W51S :☆☆☆
#69 [☆Cocomo☆MILK☆]
今にも泣き出してしまうんじゃないかと思うくらい切羽詰まった表情
着物の襟を強く握り絞めながら訴える少年に、妖魔は一瞬目を見張り
そして小さく息を吐いた
「ほとんどの者はあの町で暮らしているはずだ…今は保証しかねるがな」
:07/08/10 21:41 :W51S :☆☆☆
#70 [☆Cocomo☆MILK☆]
その言葉に輝夜は胸の中が熱くなるのを感じた
―ああ、母さん
あなたが生きているかもしれないなんて――…!――――
「……今日はもうじき日が暮れる。
明日の朝、その町まで案内してやろう」
「…え…」
「会うんだろう、母親に」
:07/08/10 21:43 :W51S :☆☆☆
#71 [☆Cocomo☆MILK☆]
襟を握りしめる輝夜の手をそっとほどき、立ち上がった妖魔が言った
「いっいいんですか!?」
「良いも何も。
オマエもどのみちあの町へと送り届けるつもりだった」
さも当たり前のようなセリフ
輝夜は驚きと喜びに頭を深く下げた
「ありがとうございますっ!
ありがとうございます…!」
:07/08/10 22:27 :W51S :☆☆☆
#72 [☆Cocomo☆MILK☆]
嬉々として例を繰り返す輝夜を見下ろし、妖魔はふと笑った
「オマエは面白いな、輝夜。
こんな奴は初めてだ」
その笑顔に、顔をあげた輝夜はどきりとする
:07/08/10 22:29 :W51S :☆☆☆
#73 [☆Cocomo☆MILK☆]
冷たい印象とは裏腹に、優しい微笑み
こんな表情をする人が妖魔だなんて信じられなかった
住みにくい今の世界
その片隅で、暗い洞窟の中ひっそりと独りで生きる
それはどこか自分に似ていると感じた
「………………。
飯は食ったのか」
顔を曇らせた輝夜を無言で見つめていた妖魔が口を開く
:07/08/10 22:41 :W51S :☆☆☆
#74 [☆Cocomo☆MILK☆]
「あ…いえ…」
「腹が空いただろう。
何か食えるものを探してくる。オマエはここにいろ」
そう言ってきびすを返した彼の背に、輝夜は気付けば呼び止めていた
「あっ、あの…」
輝夜の声に振り返った彼が視線だけで呼び掛けに応える
:07/08/10 22:43 :W51S :☆☆☆
#75 [☆Cocomo☆MILK☆]
輝夜は何て言えばいいか言葉を探しながら口を開いた
「あの…貴方はずっとこの洞窟に…?」
「………ああ」
「独り…で?」
その言葉に彼は一瞬だけ驚いた表情を浮かべた
「…この世は…オレのような存在には住みにくいからな…」
:07/08/10 22:46 :W51S :☆☆☆
#76 [我輩は匿名である]
<center>
頑張れ(^ω^)
:07/08/11 01:22 :D903i :3wyEMZTc
#77 [Μ]
絵好き
:07/08/11 02:12 :P901iS :0YzShz1M
#78 [あ]
絵うまっ!!
絵もっとみたい
:07/08/11 05:30 :F902i :☆☆☆
#79 [☆Cocomo☆MILK☆]
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴|トクメイサン|
ありがとです|がんばりますP~
|Mさん|
まだまだ進歩して見やすくわかりやすい絵を書きたいと思います|ありがとうですP
|あさん|
イラストは更新ごとに増やす予定なのでお見苦しいですがよろしくおねがいします|
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
:07/08/11 08:20 :W51S :☆☆☆
#80 [☆Cocomo☆MILK☆]
|お知らせ|
今日〜水曜夜まで旅行に行ってきますc
しばらく更新が途絶えますが、放置ではありませんホ
次回更新は木曜からとなります|
みんな忘れないでねl|藁
それではc
:07/08/11 17:36 :W51S :☆☆☆
#81 [妃狩]
:07/08/11 20:52 :P702iD :cbVG1zFo
#82 [☆Cocomo☆MILK☆]
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴|妃狩さんへ|
ありがとうございます☆ただいま帰りましたので少し更新します|
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
:07/08/15 17:25 :W51S :☆☆☆
#83 [☆Cocomo☆MILK☆]
:07/08/15 17:41 :W51S :☆☆☆
#84 [☆Cocomo☆MILK☆]
人々から恐れられ、異形の者とされている妖魔
かつては世を脅かす存在であったが、希少となった今ではひっそりと生き延びるのみ
まだ人々に被害を与え続けている妖魔など実はもう存在しないのかもしれない
見た目は人とさほど変わらない彼ら
ただ力を持ち生まれてしまっただけ
:07/08/15 17:54 :W51S :☆☆☆
#85 [☆Cocomo☆MILK☆]
生まれついた時から
妖魔と妨げられ
いつしか人間から迫害される
いったい彼はどれほどの気持ちを抱え生きて来たのだろう
たった独りで
「あの…」
「何か探してくる。
…大丈夫だ。すぐ戻る」
気まずそうに見上げた顔を、彼は不安だろうと思ったらしい
:07/08/15 17:58 :W51S :☆☆☆
#86 [☆Cocomo☆MILK☆]
彼の手があやすように頬を撫でた
優しく細められた翠の瞳
その瞳孔は縦になっていて、まるで猫のようだと思った
思わず見惚れていると、彼は小さく笑ってくるりと背を向けた
銀の長い髪がさらりと揺れる
:07/08/15 18:00 :W51S :☆☆☆
#87 [☆Cocomo☆MILK☆]
「セツ」
「え…?」
「オレの、名だ」
振り向かずに呟かれた言葉
彼はそのまま洞窟の外へと歩いて行った
足元に浮かぶオレンジの小さな光の球が暗い洞窟を照らしている
彼の背が見えなくなっても、輝夜はじっと奥を見つめていた
セツ
貴方の名
それは輝夜にとって生涯忘れえぬ名となる
:07/08/15 18:03 :W51S :☆☆☆
#88 [ぱなっぷュ]
更新されてる}
:07/08/15 18:15 :W51P :.Sz.WziY
#89 [☆Cocomo☆MILK☆]
――――――――――――――――
パチパチ燃える小さな焚き火
彼が戻るまでの間に、輝夜が焚き起こしたものだ
それをぼんやり眺め、小さく息を吐いた
「肉は嫌いか?」
「…いえ」
「食わないのか?ほら」
「…………」
付き出された肉の塊を、輝夜は苦々しく顔を歪ませた
:07/08/15 18:16 :W51S :☆☆☆
#90 [☆Cocomo☆MILK☆]
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴|ぱなっぷさんュ|
ただいまです咐|
更新しますよ「P
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
:07/08/15 18:19 :W51S :☆☆☆
#91 [☆Cocomo☆MILK☆]
あれからほどなくして、セツと名乗った妖魔が洞窟に戻ってきた
薄暗く静かな洞窟に一人残され、押し寄せた不安と恐怖
戻ってきたセツの姿を見、ほっとするのもつかの間
「何か探してくる」と自分のために食料を探し戻った彼の両手にはその「何か」が力なく垂れ下がっていた
:07/08/15 18:22 :W51S :☆☆☆
#92 [☆Cocomo☆MILK☆]
まだ小さい野うさぎに、ずるずる引きずっている長いシマ蛇
どちらもぐったりとしていて、それが息をしていないことが分かった
思わず青ざめた顔のまま後ずさった輝夜を尻目に、セツはどうしたんだと首をかしげ、なれた手付きで野うさぎと蛇を調理し始めた
―――そして今に至る
:07/08/15 18:25 :W51S :☆☆☆
#93 [☆Cocomo☆MILK☆]
(食わないかって…食べれないよ)
焚き火の前で膝を抱えてうずくまる横で、セツは付きだした肉をじっと見つめた
「…人間は食わないのか」
「?…うさぎ?」
「ああ」
「食べる…けど、そんな目の前でさばかれたら…」
セツがウサギをさばく姿を思いだし、うっと口を押さえる
輝夜にとってその光景はショックの出来事だった
:07/08/15 18:34 :W51S :☆☆☆
#94 [☆Cocomo☆MILK☆]
「…食うのに食わないのか?」
「うん、あの…いらない」
顔を向けてぱたぱたと手を振った輝夜にセツは眉を寄せ、串刺しの肉を頬張った
「こんなに旨いのに。人間は面倒だな」
「…………」
ぼやかれた言葉
輝夜は何も言わずに込み上げる吐き気を押さえていた
「…すまないな、寝る場所がない」
夜も更け、焚き火も燃え尽きる頃
火に手をかざす輝夜にセツが呟いた
:07/08/15 18:39 :W51S :☆☆☆
#95 [☆Cocomo☆MILK☆]
「いえ…そんな」
彼は自分を食らおうとはしなかった
明日には母を届けた村まで送ると言うが、仮にも自分は生け贄の身
そんな言葉をかけてくれるなんて本当なならあり得るはずがないと思った
「眠いだろう。
…気が休まるとは思わんが…」
「え…、わ…っ」
:07/08/15 21:57 :W51S :☆☆☆
#96 [☆Cocomo☆MILK☆]
セツは輝夜を軽々と抱き上げ、そのまま腰を下ろした
「固い地面よりはいくらかマシだ」
そう言い、自分の腕の中に身を預けさせた輝夜を見下ろして小さく笑んだ
輝夜は突然のことに目を見張り、しかしおとなしくセツに身を預けた
:07/08/15 22:06 :W51S :☆☆☆
#97 [☆Cocomo☆MILK☆]
セツの腕の中にすっぽりと収まる形のまま、そっと胸に顔を寄せた
セツの体温は低く、ひんやりと肌に感じて心地良い
ぱちぱちと小さくなる焚き火の炎を見つめるうちに、まぶたが重くなってきた
「…明日、楽しみだな…」
「ん?」
「母さんに…会える」
:07/08/15 23:00 :W51S :☆☆☆
#98 [☆Cocomo☆MILK☆]
呟いた輝夜の細い肩を、セツはぽんぽんと叩いた
「よかったな。
…きっと会えるさ」
「…ん…」
セツの、囁くように小さく笑った低い声
輝夜はセツのゆっくりした心臓の音や、優しく背を叩いてくれる手のひらに安心し、とうとうまぶたを下ろした
:07/08/15 23:06 :W51S :☆☆☆
#99 [☆Cocomo☆MILK☆]
「…おやすみ、輝夜」
訪れた睡魔に、意識を沈みこませる瞬間優しく暖かい声が耳を掠めた
同時に体を引き寄せられた感覚と、唇に柔らかい感触
ああ、これってキスってやつだ―――――
それは夢の中か現実か
確かめる前に、輝夜は深い眠りに落ちた
:07/08/15 23:10 :W51S :☆☆☆
#100 [椎鑼]
この小説好きです
続きが気になってしかたがありません
:07/08/16 01:08 :P902iS :.PHactME
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