ぎんいろのおおかみ〈}イラスト付きBL}〉
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#61 [☆Cocomo☆MILK☆]
:07/08/10 19:54 :W51S :☆☆☆
#62 [☆Cocomo☆MILK☆]
笑い、彼はそっと輝夜に近づいた
整った顔が近づき、白い首筋へと寄せられる
「…っ」
殺される――
ぎゅっと目をつぶり、痛みを待っていた輝夜の予想とは反し
さらけだした首筋には暖かいものが触れた
「…っん」
:07/08/10 19:57 :W51S :☆☆☆
#63 [☆Cocomo☆MILK☆]
気付けば軽く吸い付き残されたうっ血
そのままゆっくりと体が離れていく
戸惑い視線を向けると、そこには口角をあげ微笑する美しい顔
「オマエ…名は?」
今から殺す者に名前など聞いてなんになるのか
そう思いながら、輝夜は口を開いた
「輝夜…」
「輝夜。…そうか」
● [jpg/23KB]
:07/08/10 20:01 :W51S :☆☆☆
#64 [☆Cocomo☆MILK☆]
確かめるように名を繰り返すと、妖魔は身を翻し、岩肌へと腰を下ろしてしまった
「あ…あの…」
自分に与えられたのは痛みでも恐怖でもなく甘美な痛み
こんなはずではなかった
虚をとられたように戸惑い呼び掛けると、その人は口を開く
:07/08/10 20:05 :W51S :☆☆☆
#65 [☆Cocomo☆MILK☆]
「オレは元から人を食らう習性などない」
「え……?」
聞き間違いか
輝夜は耳を疑った
「そん…な、はずは…」
毎年恒例のように生け贄に出されているものがいるはず
なにより洞窟前で発見された若い娘の亡骸
どういう事だと困惑した輝夜の疑問を感じとり、微かに笑った
:07/08/10 21:31 :W51S :☆☆☆
#66 [☆Cocomo☆MILK☆]
「…洞窟の入り口にあった亡骸は俺の仕業ではない。
熊か何かに襲われたんだろう」
「毎年の生け贄…は…?」
「逃がしている。
この森を抜けた所にある、小さな町へとな…」
生け贄として差し出された時点で、その者の人生は終わる。
:07/08/10 21:34 :W51S :☆☆☆
#67 [☆Cocomo☆MILK☆]
たとえ生き延びたとしても、村の怒りを買ってしまうことは明白だった
それを知っているこの妖魔は、村の者達が足を踏み入れない地まで彼らを逃がし、そこで新たな暮らしをするように言い渡していたと言うのだ
:07/08/10 21:35 :W51S :☆☆☆
#68 [☆Cocomo☆MILK☆]
「そんな…じゃあ…母さん…は……」
――生きている――――?
震えた唇から漏れた声に、妖魔が眉を寄せた
「母さん?」
ドクドクと早い鼓動に耐えきれず、輝夜は彼の元へ飛び付いた
「あの…っ!13年前に、俺の母さんが生け贄にされたんだ!もし…もし何か知っているなら…!」
:07/08/10 21:38 :W51S :☆☆☆
#69 [☆Cocomo☆MILK☆]
今にも泣き出してしまうんじゃないかと思うくらい切羽詰まった表情
着物の襟を強く握り絞めながら訴える少年に、妖魔は一瞬目を見張り
そして小さく息を吐いた
「ほとんどの者はあの町で暮らしているはずだ…今は保証しかねるがな」
:07/08/10 21:41 :W51S :☆☆☆
#70 [☆Cocomo☆MILK☆]
その言葉に輝夜は胸の中が熱くなるのを感じた
―ああ、母さん
あなたが生きているかもしれないなんて――…!――――
「……今日はもうじき日が暮れる。
明日の朝、その町まで案内してやろう」
「…え…」
「会うんだろう、母親に」
:07/08/10 21:43 :W51S :☆☆☆
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