ぎんいろのおおかみ〈}イラスト付きBL}〉
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#85 [☆Cocomo☆MILK☆]
生まれついた時から
妖魔と妨げられ
いつしか人間から迫害される
いったい彼はどれほどの気持ちを抱え生きて来たのだろう
たった独りで
「あの…」
「何か探してくる。
…大丈夫だ。すぐ戻る」
気まずそうに見上げた顔を、彼は不安だろうと思ったらしい
:07/08/15 17:58 :W51S :☆☆☆
#86 [☆Cocomo☆MILK☆]
彼の手があやすように頬を撫でた
優しく細められた翠の瞳
その瞳孔は縦になっていて、まるで猫のようだと思った
思わず見惚れていると、彼は小さく笑ってくるりと背を向けた
銀の長い髪がさらりと揺れる
:07/08/15 18:00 :W51S :☆☆☆
#87 [☆Cocomo☆MILK☆]
「セツ」
「え…?」
「オレの、名だ」
振り向かずに呟かれた言葉
彼はそのまま洞窟の外へと歩いて行った
足元に浮かぶオレンジの小さな光の球が暗い洞窟を照らしている
彼の背が見えなくなっても、輝夜はじっと奥を見つめていた
セツ
貴方の名
それは輝夜にとって生涯忘れえぬ名となる
:07/08/15 18:03 :W51S :☆☆☆
#88 [ぱなっぷュ]
更新されてる}
:07/08/15 18:15 :W51P :.Sz.WziY
#89 [☆Cocomo☆MILK☆]
――――――――――――――――
パチパチ燃える小さな焚き火
彼が戻るまでの間に、輝夜が焚き起こしたものだ
それをぼんやり眺め、小さく息を吐いた
「肉は嫌いか?」
「…いえ」
「食わないのか?ほら」
「…………」
付き出された肉の塊を、輝夜は苦々しく顔を歪ませた
:07/08/15 18:16 :W51S :☆☆☆
#90 [☆Cocomo☆MILK☆]
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴|ぱなっぷさんュ|
ただいまです咐|
更新しますよ「P
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:07/08/15 18:19 :W51S :☆☆☆
#91 [☆Cocomo☆MILK☆]
あれからほどなくして、セツと名乗った妖魔が洞窟に戻ってきた
薄暗く静かな洞窟に一人残され、押し寄せた不安と恐怖
戻ってきたセツの姿を見、ほっとするのもつかの間
「何か探してくる」と自分のために食料を探し戻った彼の両手にはその「何か」が力なく垂れ下がっていた
:07/08/15 18:22 :W51S :☆☆☆
#92 [☆Cocomo☆MILK☆]
まだ小さい野うさぎに、ずるずる引きずっている長いシマ蛇
どちらもぐったりとしていて、それが息をしていないことが分かった
思わず青ざめた顔のまま後ずさった輝夜を尻目に、セツはどうしたんだと首をかしげ、なれた手付きで野うさぎと蛇を調理し始めた
―――そして今に至る
:07/08/15 18:25 :W51S :☆☆☆
#93 [☆Cocomo☆MILK☆]
(食わないかって…食べれないよ)
焚き火の前で膝を抱えてうずくまる横で、セツは付きだした肉をじっと見つめた
「…人間は食わないのか」
「?…うさぎ?」
「ああ」
「食べる…けど、そんな目の前でさばかれたら…」
セツがウサギをさばく姿を思いだし、うっと口を押さえる
輝夜にとってその光景はショックの出来事だった
:07/08/15 18:34 :W51S :☆☆☆
#94 [☆Cocomo☆MILK☆]
「…食うのに食わないのか?」
「うん、あの…いらない」
顔を向けてぱたぱたと手を振った輝夜にセツは眉を寄せ、串刺しの肉を頬張った
「こんなに旨いのに。人間は面倒だな」
「…………」
ぼやかれた言葉
輝夜は何も言わずに込み上げる吐き気を押さえていた
「…すまないな、寝る場所がない」
夜も更け、焚き火も燃え尽きる頃
火に手をかざす輝夜にセツが呟いた
:07/08/15 18:39 :W51S :☆☆☆
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