ぎんいろのおおかみ〈}イラスト付きBL}〉
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#90 [☆Cocomo☆MILK☆]
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴|ぱなっぷさんュ|
ただいまです咐|
更新しますよ「P
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:07/08/15 18:19 :W51S :☆☆☆
#91 [☆Cocomo☆MILK☆]
あれからほどなくして、セツと名乗った妖魔が洞窟に戻ってきた
薄暗く静かな洞窟に一人残され、押し寄せた不安と恐怖
戻ってきたセツの姿を見、ほっとするのもつかの間
「何か探してくる」と自分のために食料を探し戻った彼の両手にはその「何か」が力なく垂れ下がっていた
:07/08/15 18:22 :W51S :☆☆☆
#92 [☆Cocomo☆MILK☆]
まだ小さい野うさぎに、ずるずる引きずっている長いシマ蛇
どちらもぐったりとしていて、それが息をしていないことが分かった
思わず青ざめた顔のまま後ずさった輝夜を尻目に、セツはどうしたんだと首をかしげ、なれた手付きで野うさぎと蛇を調理し始めた
―――そして今に至る
:07/08/15 18:25 :W51S :☆☆☆
#93 [☆Cocomo☆MILK☆]
(食わないかって…食べれないよ)
焚き火の前で膝を抱えてうずくまる横で、セツは付きだした肉をじっと見つめた
「…人間は食わないのか」
「?…うさぎ?」
「ああ」
「食べる…けど、そんな目の前でさばかれたら…」
セツがウサギをさばく姿を思いだし、うっと口を押さえる
輝夜にとってその光景はショックの出来事だった
:07/08/15 18:34 :W51S :☆☆☆
#94 [☆Cocomo☆MILK☆]
「…食うのに食わないのか?」
「うん、あの…いらない」
顔を向けてぱたぱたと手を振った輝夜にセツは眉を寄せ、串刺しの肉を頬張った
「こんなに旨いのに。人間は面倒だな」
「…………」
ぼやかれた言葉
輝夜は何も言わずに込み上げる吐き気を押さえていた
「…すまないな、寝る場所がない」
夜も更け、焚き火も燃え尽きる頃
火に手をかざす輝夜にセツが呟いた
:07/08/15 18:39 :W51S :☆☆☆
#95 [☆Cocomo☆MILK☆]
「いえ…そんな」
彼は自分を食らおうとはしなかった
明日には母を届けた村まで送ると言うが、仮にも自分は生け贄の身
そんな言葉をかけてくれるなんて本当なならあり得るはずがないと思った
「眠いだろう。
…気が休まるとは思わんが…」
「え…、わ…っ」
:07/08/15 21:57 :W51S :☆☆☆
#96 [☆Cocomo☆MILK☆]
セツは輝夜を軽々と抱き上げ、そのまま腰を下ろした
「固い地面よりはいくらかマシだ」
そう言い、自分の腕の中に身を預けさせた輝夜を見下ろして小さく笑んだ
輝夜は突然のことに目を見張り、しかしおとなしくセツに身を預けた
:07/08/15 22:06 :W51S :☆☆☆
#97 [☆Cocomo☆MILK☆]
セツの腕の中にすっぽりと収まる形のまま、そっと胸に顔を寄せた
セツの体温は低く、ひんやりと肌に感じて心地良い
ぱちぱちと小さくなる焚き火の炎を見つめるうちに、まぶたが重くなってきた
「…明日、楽しみだな…」
「ん?」
「母さんに…会える」
:07/08/15 23:00 :W51S :☆☆☆
#98 [☆Cocomo☆MILK☆]
呟いた輝夜の細い肩を、セツはぽんぽんと叩いた
「よかったな。
…きっと会えるさ」
「…ん…」
セツの、囁くように小さく笑った低い声
輝夜はセツのゆっくりした心臓の音や、優しく背を叩いてくれる手のひらに安心し、とうとうまぶたを下ろした
:07/08/15 23:06 :W51S :☆☆☆
#99 [☆Cocomo☆MILK☆]
「…おやすみ、輝夜」
訪れた睡魔に、意識を沈みこませる瞬間優しく暖かい声が耳を掠めた
同時に体を引き寄せられた感覚と、唇に柔らかい感触
ああ、これってキスってやつだ―――――
それは夢の中か現実か
確かめる前に、輝夜は深い眠りに落ちた
:07/08/15 23:10 :W51S :☆☆☆
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