ぎんいろのおおかみ〈}イラスト付きBL}〉
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#97 [☆Cocomo☆MILK☆]
セツの腕の中にすっぽりと収まる形のまま、そっと胸に顔を寄せた
セツの体温は低く、ひんやりと肌に感じて心地良い
ぱちぱちと小さくなる焚き火の炎を見つめるうちに、まぶたが重くなってきた
「…明日、楽しみだな…」
「ん?」
「母さんに…会える」
:07/08/15 23:00 :W51S :☆☆☆
#98 [☆Cocomo☆MILK☆]
呟いた輝夜の細い肩を、セツはぽんぽんと叩いた
「よかったな。
…きっと会えるさ」
「…ん…」
セツの、囁くように小さく笑った低い声
輝夜はセツのゆっくりした心臓の音や、優しく背を叩いてくれる手のひらに安心し、とうとうまぶたを下ろした
:07/08/15 23:06 :W51S :☆☆☆
#99 [☆Cocomo☆MILK☆]
「…おやすみ、輝夜」
訪れた睡魔に、意識を沈みこませる瞬間優しく暖かい声が耳を掠めた
同時に体を引き寄せられた感覚と、唇に柔らかい感触
ああ、これってキスってやつだ―――――
それは夢の中か現実か
確かめる前に、輝夜は深い眠りに落ちた
:07/08/15 23:10 :W51S :☆☆☆
#100 [椎鑼]
この小説好きです
続きが気になってしかたがありません
:07/08/16 01:08 :P902iS :.PHactME
#101 [☆Cocomo☆MILK☆]
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴|椎鑼さんへ|
ありがとうございます滾Pお見苦しいですが最後まで頑張りますのでよろしくです滾P
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
:07/08/16 15:48 :W51S :☆☆☆
#102 [☆Cocomo☆MILK☆]
―――――――――――――――
「そんなにウロウロするな」
背中に投げ掛けた声に、俺は振り向き睨みあげた
「っだって…!」
「雨が降っては仕方ないだろう。
お前がうろついたところで、雨は止まない」
「だけど…」
俺はがくりと肩を落とした
待ちわびた次の日。
セツが言うように、洞窟の外は大豪雨
いくら隣村とはいえ、こんな天気の中では連れて行けないとセツが引き留めた
:07/08/16 15:58 :W51S :☆☆☆
#103 [☆Cocomo☆MILK☆]
「せっかく…楽しみにしてたのに…」
とぼとぼと近づき、輝夜はセツの隣に腰を下ろした
「…じき止むさ」
なだめるようにセツの大きな手のひらが頭を撫でる
輝夜はため息を吐き、ふと顔をあげた
―そういえば。
「…あの…昨日…」
「ん?」
:07/08/16 16:02 :W51S :☆☆☆
#104 [☆Cocomo☆MILK☆]
見上げた先に、整った顔
ガラスのような瞳に見つめられ、輝夜はぱっと視線を下げた
「や、やっぱりなんでもない…」
眠りに落ちる間際に触れた唇の感触
夢にしてはやけにリアルで
現実にしてはぼんやりとした感覚
思いだし、カッと頬に熱がこもった
「…すまない。腹が減っていた」
「………え…?」
:07/08/16 16:06 :W51S :☆☆☆
#105 [☆Cocomo☆MILK☆]
なんのことかと視線をあげる
セツは少しバツが悪そうに息を吐いた
「…妖魔はヒトの精気を吸い妖力を高める。昨夜は寝ているお前の口から少し気をもらった。
…断りもせず済まなかった」
困ったように笑い、どきんと胸が鳴った
輝夜は悟られないようにうつむき、唇を尖らせた
「べ、別に…。
……寝ている間にしなくても、言ってくれればよかったのに」
:07/08/16 16:13 :W51S :☆☆☆
#106 [☆Cocomo☆MILK☆]
「いや、嫌がるかと思ったから」
「嫌がるも何も俺は…っ」
――もともと、生け贄として此処にいるのだから――
続けようとした言葉が喉に張り付いた
セツはとても優しくて、自分が生け贄の立場を忘れてしまうくらい穏やかな人だった
本当に妖魔なのだろうかと考えてしまうほど、彼は自分によくしてくれた
雨が止み、明日母親に会えたら、輝夜はもうここに来ることはない
:07/08/16 16:18 :W51S :☆☆☆
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