「純也」
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#412 [あぃみ]
自分の欲望を押し付けて
やりたい放題だった俺。
すでに負けていたのに負けまいとあいみを傷つけた。
俺は何かしてやれたか?
これからと言う時だったのに…
なんでもっと早く素直になれなかった?
帰ってきてくれよ…
あいみ……
後悔しか残らない。
:09/05/14 08:57 :911SH :☆☆☆
#413 [あぃみ]
突然家のドアがノックされた。喪服のりんが上がりこんできた。
気力のない俺は
「おう」
とただ振り向き目を背けた。
「あんた、本当に来なかったね。」
俺の目の前に来て腰を下ろしたりん。
「俺だって行こうかと思ったよ。ちゃんと死を受け入れなければいけないって。
でもあいつの彼氏が来てたらなんか悪いし、気まずいから…これでよかったんだよ。」
俺はいつも、りんには素直に話せる。
:09/05/14 10:20 :911SH :☆☆☆
#414 [あぃみ]
「彼氏?あいみが言ったの?」
りんは、一瞬だけ驚いた表情を見せて すぐに切ないため息をはいた。
「とりあえず、純也に宛てたあいみからの手紙が部屋にあったから、渡しに来た。」
受け取った紙は、封筒には入っていなく、キティーのメモ用紙のような紙だった。
:09/05/14 10:32 :911SH :☆☆☆
#415 [あぃみ]
『純也。
私は一目惚れなんて信じていなかった。
どんな純也も好き。
最初はそばに居られるだけていいって思ってた。
でも、今は純也が欲しい。もっとたくさん優しさに触れたい。特別でいたい。ねぇ私をみて?
私、実は彼氏がいるの。
病院にね。もう二年も目を開けていない。
彼氏以上に好きになれる人なんて現れないはずだった。私は彼氏が目を覚ますのを待ってた。
私は楽しい思いをしちゃいけないんだって思い込んでた。
だけど最近は純也であいみの頭いっぱいになっていてどうしようもない。
純也が好き。だから 』
:09/05/14 10:41 :911SH :☆☆☆
#416 [あぃみ]
そこまでで止まっていた。
流れる涙をりんがそっと拭いてくれた。
「純也、あいみの気持ち伝わったよね?あいみは人を見る目があるの。幼なじみの私が言うんだから間違えないよ。
そんなあいみがあんたを好きになった。あんたの優しい所。思いやりを持てる所。あいみはわかっていたんだと思うよ。」
自分の涙を拭き、りんは続けた。
「あんた男でしょ?いつまでも後悔したことにうじうじしてないで前をみなさいよ!」
:09/05/14 10:48 :911SH :☆☆☆
#417 [あぃみ]
最後にりんは俺の頭をポンと撫で、「一緒に頑張ろう!あいみはそばにいるから」とブイサインを向けた。
切ない笑顔を見せて玄関を出て行った。
その日
久しぶりに睡魔が遅ってきた。
俺は 夢を見た。
.
:09/05/14 10:53 :911SH :☆☆☆
#418 [あぃみ]
霧のかかる
不思議な空間にいた。
少し遠くにあいみがいる。
白い、長いウエディングドレス。
優しい微笑みをむけている。
俺は、そばまで行きたいのに 思い何かが邪魔をして身体が全く動かない。
:09/05/14 19:11 :911SH :☆☆☆
#419 [あぃみ]
次の瞬間、
後ろから白い影が現れ、
あいみを優しく包みこんだ。
やがてその影は人の形になった
あいみはその人影の腕をそっと取り、連れていかれる。
一度振り返り、
穏やかな微笑を浮かべて俺に手を振った。
最後に見せたあの穏やかな表情と同じ顔だ。
:09/05/14 21:33 :911SH :☆☆☆
#420 [あぃみ]
そして
ゆっくり ゆっくりと
二人は消えてなくなっていった。
そして俺の身体が軽くなり、目が覚めた。
:09/05/14 21:37 :911SH :☆☆☆
#421 [あぃみ]
冷たい汗をかいていた。
ふと時計を見ると、1時間くらい戻っていた。
りんがいた時間だ。
外は暗い。
まる一日たっていた。
何か違和感を感じ、
台所に足を運んだ。するとカレーライスと現金が置いてあった。
メモが一枚。
:09/05/14 21:51 :911SH :☆☆☆
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