僕⇒俺

「はい！これ！」

さっき買ったまだ熱いくらい温かい午後ティーのホットを渡す。

「え……？これ…私、大好き！」

嬉しそうに受け取る。

「うん。かなぁって思ってた」
ドリンクの前を通る時、いつも目がいってたのを俺は見てたから。

「え…？なんで～～！？陽、超能力使えるの？」

冗談ぽく言って、両手でぎゅっと午後ティーを握りしめる。

「ないですよ～～！そんな能力～」

「ふふ…陽、ありがとう」

なんだか午後ティーを愛しそうに見つめる。

そんな葉山さんを見てると心が暖かくなった。

「大丈夫ですか？寒くないですか？」

すごく心配で俺は葉山さんに聞く。

「うん！全然大丈夫だよ。映画館行こっか！」

満面の笑顔で笑う。

「はい！」

そうして映画館へ足を速めた。
――――――……

「ん～～…陽は何見たい？」

「俺は何でもいいんですけど…泣くのは嫌です……」

俺たちはチケット売り場で立ち止まってる。

けど…１つ気になる事が……

ずっと手を繋いでる事…

お店を出る時に葉山さんが俺の手を急かすように引っ張って繋いだんだけど…

正直…すごい照れる！！

「陽～涙もろそうだもんね」

へへっと意地悪っぽく可愛く笑う。

「う……そうだけど～…言わないでください！」

男なのに……っていつも思うから…

「私～…そういう男の子、好きだよ？」

「え…………！？」

なんだかすごく嬉しい言葉だったような…

「１回しか言いません！」

照れてまた悪戯っぽく笑った。

結局映画はアクション系になったんだけど………

―――――……

―３時間後……―

「最近の映画！！ほとんど涙モノなんだけど～～…！」

瞳をウルウルさせた男が１人。
名前は……

「陽って最高～～！！」

俺……です…………

アクション系で泣きました。

「最高じゃないです！あそこでなんでジャンが死なないといけないんですか！？」

まだ映画の世界から抜け出せないでいた。

「ジャン……あそこは私も泣いたけど～…陽、泣きすぎ！！」

葉山さんはクスクス笑ってる。

「もう！けど…すごく面白かったぁぁぁ！」

俺が叫ぶ。

「うん！だね！！最高傑作！」
映画の話をしながら俺たちは映画館の中にあるレストランへと入った。

「よし！今から映画について語ろう会ね！！」

席について俺と葉山さんは映画から学校の話へ家族の話、色々な話をした。

時間を忘れて気がつくと外は暗くなりかけてて…

「あ！うっそ！時間たつの早すぎ！！」

「本当だ！全然気がつきませんでしたね……」

店の迷惑になるから出る事になって席を立とうとしたら携帯が鳴った。

――ami.･･･@docomo.ne.jp――
携帯に知らないアドレスが表示された。

「あれ…？誰だろ………？」

不思議に思ってメールを開く。
――――――――――――――こんばんは

北原愛美[ｷﾀﾊﾗｱﾐ]です

昼間は突然

話しかけちゃって

すみません

――――――――――――――
自販機の場所を教えてくれた女の子からだった。

「あ……」

思わず声が出た。

「ん…？どうしたの…？」

葉山さんが顔を覗く。

「あ！なんでもないです！」

こんな事、相談しても、何も思ってくれないのかな……

心がズキッと傷む。

なんで……？

「そっかぁ……あのね？私はまだ遊べるんだけど…陽は？」