僕⇒俺
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#606 [氷雨]
孝裕さんから出た【御人】と、いう言葉に雅さんの体がピクリと反応した。
「【御人】だ………?」
確かめるように繰り返した。
雅さんの言葉に孝裕さんは頷く。
次は雅さんからの視線攻撃。
またもいたたまれなくなって視線を逸らす。
「あ………っ!!え……?」
:08/05/06 16:20 :D704i :☆☆☆
#607 [氷雨]
雅さんも思い出したかのように声をあげて、「マジ……?」、そう呟いた。
孝裕さんが意を決したように俺に尋ねる。
「陽?もしかしたらな、お前の父親は彩史さんか?」
突然出た父親の名に瞳をパチクリさせる。
雅さんも孝裕さんも真剣そのもので…
「どうして、お父さんの名を知ってるんですか?」
:08/05/06 16:24 :D704i :☆☆☆
#608 [氷雨]
俺は驚きを隠せずに言った。
お父さんが関係あるの?
眉にしわが寄る。
「陽………、本当に。本当に彩史さんの息子なのか?」
孝裕さんは呟くように俺に尋ねる。
雅さんも俺をジッと見つめている。
「うん、俺のお父さんですけど…。お父さんを知っているんですか?」
:08/05/06 19:38 :D704i :☆☆☆
#609 [氷雨]
もう1度質問して、そこで俺はハッと気付いた。
お父さんはモデルをしていたんだ。
「俺の先輩。俺の憧れ…」
雅さんが呟いた。
俺は雅さんの顔を見上げた。
その顔は嬉しそうな、悲しそうな顔をしていた。
「雅…さん……?」
:08/05/06 19:42 :D704i :☆☆☆
#610 [氷雨]
「なぁ。…今日、陽ん家いってもい?」
雅さんは何かを我慢したように言う。
俺は直ぐ様返事をする。
「はいっ、大丈夫です」
そう言ってにっこり笑った。
「俺も行くから」
後ろから当然のように声が聞こえる。
「はいっ!」
孝裕さんにも笑顔を送った。
:08/05/06 19:48 :D704i :☆☆☆
#611 [氷雨]
「ただいまーー!」
俺は元気よく自宅の玄関を開けた。
リビングからいつものようにバタバタと足音が近づく。
「はーーるーーーーっ!」
「んぐっ…!」
いつものように我が父親は俺に抱き付き満面の笑みを向けた。
「おかえりっ!!」
:08/05/06 19:56 :D704i :☆☆☆
#612 [氷雨]
少し苦笑いをし、
「ただいま……」
と、我が父を自分から引き剥がした。
「あれ………?」
お父さんは俺の後ろに気づき、疑問を口にした。
「孝裕と雅じゃん!!」
俺の後ろの2人にも満面の笑みで笑った。
:08/05/06 20:05 :D704i :☆☆☆
#613 [氷雨]
後ろを振り向き、2人を見ると口をぱくぱくしていた。
「彩……史……さん……」
震える声で雅さんは呟いた。
あの俺様の孝裕さんでさえ、なんだか震えている。
「おう!元気そうだな!陽が世話になってるらしいな、ありがと」
お父さんは茶目っ気に言ってウインクした。
:08/05/06 20:40 :D704i :☆☆☆
#614 [氷雨]
「彩…史さん……、どこにいたん…ですか……?」
孝裕さんが独り言かと思うくらい小さな声で呟いた。
お父さんは孝裕さんの言葉を聞くと、少し考えていた。
そして、少しの沈黙の後、お父さんは言った。
「モデルは楽しかった。けど、俺、もう1つの夢を叶えなかったんだよな」
目を輝かせて。
:08/05/07 22:51 :D704i :☆☆☆
#615 [氷雨]
「だから、夢、叶えるためにモデル辞めたの」
少年のように言うお父さんに雅さんと孝裕さんは険しい顔をした。
「突然……、突然、何も言わずに俺らを置いて……?」
雅さんの声はやっぱり震えている。
「言ってくれたら……!!」
納得していない、という風に悔しそうに言葉を止める。
:08/05/07 22:56 :D704i :☆☆☆
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