僕⇒俺
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#626 [氷雨]
はい……………?


翻訳家…って……?

俺は真っ白な頭に言葉を写す。

「翻訳家ですか……?」

孝裕さんは呆れたというか予想外すぎる言葉に呆気にとられている。

雅さんも左に同じで…


「え?お父さんって今、何してるんだった……?」

⏰:08/05/17 20:28 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#627 [氷雨]
あまり、家に帰ってこないお父さんを俺は全く気にもせずに生活していたんだ。

と、今更気付く。


『彩史はお仕事!!』

と、言い張るお母さんに俺は安心しきっていて、お父さんが何をしているのかも知らなかった。


そして、リビングから突然…

「陽は本当に馬鹿ねー、彩史は留学してたのよ」

⏰:08/05/17 20:32 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#628 [氷雨]
明るく元気な声が響いた。


「へー……留学かぁーー……………………、って!えっ!?」

改めて聞かされた新事実に俺は驚愕する。

雅さん、孝裕さんは驚きのあまりあんぐりの口を開けていた。

「えー……陽、本当に知らなかったのか……?お馬鹿さんだなぁー」

⏰:08/05/17 20:35 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#629 [氷雨]
お母さんよりも明るくおちゃらけた声に力が抜ける。


「俺?優秀でさ、特待生限定留学の許可つうか資格?貰えて!行っちゃった!ドイツ!!」


それはそれは嬉しそうに語るお父さんに俺は送る言葉もなくて、ただハハハと笑った。


「という事は大学に通われているんですか?」

孝裕さんが尋ねる。

「おう!」

お父さんはまたも明るく返事した。

⏰:08/05/17 20:40 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#630 [氷雨]
「そう……だったんですか…」

納得(少しだけ)したように孝裕さんは呟いた。

雅さんはまだ納得していないというように、不機嫌な顔をしている。


ていうか……、お父さんが大学生っていうのに俺は驚いてるのに誰も何も言わないの?


そんな思いは俺の胸の中に留まったけれど、解決する事はなかった。

⏰:08/05/17 20:45 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#631 [氷雨]
「モデルの仕事は……」

雅さんが小さく小さく呟く。

それにお父さんはわかっていたかのように素早く答える。


「俺はモデルを辞めた。復帰するつもりもない」

そうキッパリと言い放つ。

それでも、やっぱり雅さんは気にくわないといった顔で不機嫌になる。

「はは、子供みたいな所は変わらないな、雅。陽が居るだろ?」

⏰:08/05/17 20:49 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#632 [氷雨]
「へ………?」


突然の自分の指名にマヌケな声が漏れる。


「陽なら俺以上のモデルになれる、小さな頃から陽はモデル向きのセンス持ってたからな」


お父さんに褒められる事は日常茶飯事だけど、こんな対等とした褒められ方は初めてだった。

「そうだったかな?」

身に覚えのない事にクエッションを表す。

⏰:08/05/17 20:53 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#633 [氷雨]
「おう!俺は陽に基礎から叩き込んだからな!子供の頃に覚えた事は忘れにくいんだぞ」

お父さんはニカッと笑って、俺の髪を撫でる。


「納得……」

雅さんが呟く。

「陽ってモデルになるために生まれたみたいにセンス良かった。まっ!服以外は…」

後で付け足された《服》。

俺は服のセンスがまるっきりない。

⏰:08/05/17 20:58 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#634 [氷雨]
「服かぁ……、俺、大学生だからそこまでは…」

お父さんも苦笑いする。

孝裕さんはただ黙って頷いていた。


俺は言いたい放題言う、お父さんと雅さんを睨みながらワナワナと拳を握り締めて耐えていた。





「彩史さん!また来ていいですか!?」

⏰:08/05/17 21:01 📱:D704i 🆔:☆☆☆


#635 [氷雨]
元気に子犬のようにハシャぐ雅さん。

あの後、ご飯をなぜか家族プラス雅さん、孝裕さんと一緒に食べた。


食べた後も雑談をして、お父さんと雅さん達は仲直り。


丸く収まったんだけど……

「おう!いつでも来い!」

⏰:08/05/17 21:04 📱:D704i 🆔:☆☆☆


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