僕⇒俺
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#640 [氷雨]
お母さんの優しい矛盾にも笑顔で「ありがとう」と言った。
「俺はお前のお父さんで先輩で師匠!頼りまくりなさい!」
いつもの明るくおちゃらけた物言いにも安心感が湧き、自然と笑顔になる。
「俺、頑張るよ!」
俺の夢は《トップモデル》
お父さんみたいなモデルになる事だ。
:08/05/17 21:22 :D704i :☆☆☆
#641 [氷雨]
新しい夢。
けれど、まだ進めない。
俺はまだ逃げ続けているから。
大切な大切な人を傷付けて。
けれど、進むという事はまた傷付ける。
俺はまた1人の人を傷付ける。
「三依?ちょっと話があるんだ」
:08/05/17 21:26 :D704i :☆☆☆
#642 [氷雨]
「何……?」
三依は何もわかっていない笑顔で俺に笑いかける。
俺は最低だ。
深く深く心が痛むけれど、言わなければ始まらない。
「俺は北原さんを好きじゃないんだ……」
自分で言いながらズキズキと胸が痛み、顔を顰める。
:08/05/17 21:29 :D704i :☆☆☆
#643 [氷雨]
:08/05/17 23:00 :D704i :☆☆☆
#644 [氷雨]
「……………………えっ?」
数秒してから三依はあやふやな言葉を呟く。
まだ俺の言葉を頭まで理解できていないのか、眉を寄せて考えている。
俺はただ次の三依の言葉を待つ。
暫くして……
「陽兄…?どういう事?」
睨みを利かせて俺に尋ねた。
:08/05/19 20:23 :D704i :☆☆☆
#645 [氷雨]
その瞳はギラギラと輝いて、俺の胸にチクチクと痛みが走る。
俺は重なくなった口を開く。
「『一緒に放課後、帰るだけでいい』って、北原さんが言って、俺はそれに逃げた」
三依の瞳を真っ直ぐに見て、逃げたい気持ちを抑えていた。
三依は明らかに《怒》の表情で俺の話を聞く。
「俺は葉山さんが好きなんだ。北原さんも知っているけど…、俺は葉山さんの気持ちが怖くて北原さんに逃げたんだ…」
:08/05/19 20:30 :D704i :☆☆☆
#646 [氷雨]
俺は言い訳をしている情けない男……
逃げた男。
けれど、俺は1歩を踏み出したい。
気持ちを伝えたい。
傷付ける事がわかっているのに、そう思ってしまう。
最低な男だ…。
何も喋らない三依を前に俺は自分を責め続けた。
:08/05/19 20:33 :D704i :☆☆☆
#647 [氷雨]
けれど……
「陽っ兄!!」
三依は明るく元気に俺に声を掛けた。
え…………?
その状況が掴めずに俺はいつの間にか下がっていた顔を上げ、三依を見る。
「知ってる……、全部知ってるよ」
:08/05/19 20:36 :D704i :☆☆☆
#648 [氷雨]
「な……にを…?」
小さく呟くと三依は苦笑いした。
俺は表情の意味が全くわからなくて、パニック寸前だった。
すると、三依は話し始める。
「愛美は全部お見通しだったよ。『陽君にはね!すっごく好きな人がいるんだ……、いつか別れる時が来ても、《ありがとう》って笑顔で見送るよ』って、言ってた……」
それは大きな瞳にたくさんの涙を溜めながらだったけれど、三依はそれを言う事をしなかった。
:08/05/19 20:43 :D704i :☆☆☆
#649 [774ch]
頑張れ-
:08/05/20 23:14 :D903i :☆☆☆
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